DIRECTOR’S JOURNAL

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA®

COLUMN

2021.11.22

今季初めてバーニーズ ニューヨークとの別注に取り組みました。 バーニーズ ニューヨークとはもう4シーズンほどお付き合いさせていただいており、店舗によっては開期後も引き続き置いていることもありますが、基本的にはPOP-UPでという感じです。初めのうちは東京のみだったのが、横浜、福岡、神戸などと、回を重ねるごとに店舗も広げていただいて、限定的な場所ではあるし、少しずつでもありますが、普段サイトのみでやっているだけでは行き届かない方の目にも触れることができ、とても良い機会をいただけています。

そして、やっと?とうとう?ようやく?と、どの言葉を使うのが正しいかは分かりませんが、各店で評判が良いということで、「別注で」というお話をいただきました。僕ら世代からすれば、バーニーズ ニューヨークから別注を受けるなんてすごいわけです。イメージなんていうのは時代と共に変化する訳ですけど、僕にとってはやはり今もその当時のバーニーズな訳です。なんで好きかっていうと、






90年代ニューヨークに憧れバイト代を貯めて、レコード、古着、スニーカー、まだ日本には無かったDEAN & DELUCA、出来たばかりのSupremeなどに触れようと胸躍らせて行った者にとって、それはもうありがたいお話でした。とか言ってその当時、ニューヨークに行ってもバーニーズには行きませんでしたけど……。あの当時のニューヨークの中の一つにバーニーズもあった、というそれだけでもういいわけです。ジョンじゃなくてもリンゴだったらまあいいや、というビートルズのメンバーってだけですごい!みたいな感じね。随分と乱暴な、リンゴいや、ビートルズファンに対してかなり失礼な例えですけど……。常にピースサインに笑顔で、横ノリだけどどこか音頭っぽいハッピーなリンゴも好きですよ。

同じアメリカでも、西海外のゆったりしたハッピーな雰囲気とは違う世界一"せわしない"あの街に存在し、その地にいる人々を飲み込んでいたあのバーニーズなのですから、自分は行かなかったけれど、もうその存在だけで十分オーラやバーニーズマジックがあって、それは永遠に僕らの中では生き続けているのです。





もっと言えば、というか正直にいうならば、その存在自体よりもウィンドウデザインにアンディ・ウォーホルやブルース・ウェーバーを起用したこと自体に、その憧れを抱いていたのかもしれない。正直ファッション的なことよりもそういった方面での興味が強い。

とまあ、自分的趣向からすればあまり直接的な興味は湧かないとはいえ、やはりバーニーズはバーニーズであって特別な響きと輝きを、あのロゴには今も秘められている様に思えてしまう。今もバーニーズの魔法は存在を知っている者には効いているのかもしれない。

さて、別注のことに話を戻します。

昨年の春過ぎくらいにバーニーズ ニューヨークのバイヤーさんとアトリエで打ち合わせをした時、ちょうどLUFTというアイテムをリリースする準備をしていて、そのサンプルを見せると非常に反応が良く、興味を持っていただいていた。時は流れてこの秋冬のPOP-UPの話をしている中でそのアイテムの別注の話になり、よりバーニーズらしい仕様でサンプル製作を進め、ネームラベルは黒、コードアジャスターは無し、元々は春夏のアイテムなのでかなり薄手の生地だったのでそれを1年通して着られる様に少し肉厚の生地に。なのでパターンなどの変更はなく、ただでさえソリッドな見た目なのに、これ以上もなくミニマルな仕様での着地となったわけです。



そんなかなりソリッドなLUFTとなったバーニーズエディションは、確かにバーニーズっぽい。いや、というよりも憧れていたあの当時の90年代のニューヨークっぽいのかもしれない。歩くスピードを1.5倍にした方がいいとか、街でも目を合わすなとか、洗練され過ぎた街にビビり過ぎて、根拠もない訳のわからない思い込みでガチガチになり、自分はこの街では誰にも認識されていないのではないか?「ドラえもん」の道具「石ころぼうし」を被っているのではないか?なんて思うほどにソリッドな仕上がりで、自分からしたらバーニーズ以上にバーニーズな仕様に思えてならないのだ。

今のニューヨーク感ではなく、90年代のちょっと安全になって東洋の少年が一人歩いても大丈夫だけど、時折騙されたり脅かされたりする危険を感じる程よい緊張感のある、あのニューヨーク感がバーニーズ別注のLUFTにはある。もし、各都市のバーニーズの近くに行く機会があれば、それを感じるための時間を少しだけ作っていただけると嬉しく思います。



そうだ、カーゴパンツも別注がありました。こちらは目立った仕様変更もなく、生地を通年仕様の少し肉厚なもので、インラインよりもオリーブを少し明るめにしていますので、こちらもご興味ありましたら是非お店の方で触れてみてください。

また、バーニーズ ニューヨークのオンラインサイトでも取り扱いを予定しているそうなので(11月下旬以降の販売予定)、チェックしてみてはいかがでしょうか。

ついでですが、CITERA®のインラインのLUFTはこちらです。Click!