DIRECTOR’S JOURNAL

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA®

COLUMN

2022.3.14

春が来た。春は何かを始めるのにはぴったりの季節。何故そう思うのだろう? 春といえば新学期、そんな日本の学校システムが染み付いているのか、それとも、植物の多くが春に芽吹く様に、人も春になると芽吹くのだろうか。
生物学的上、気候による影響は当然解明されているだろうし、たくさんの賢人による文献などもあるだろう。でも、そういった難しいことは置いておき、我々の身体は意識とは関係なく、無意識のうちに気候に対し反応していることは、確実に自分で感じることができる。

しかし、それは無意識の領域であって、気候によって自分の身体のどこが、そしてなぜ反応しているのかは感じている自分であっても説明できない。だから、いつも通りではない居心地の悪さみたいなものがあり、精神を不安定にさせる。それは何とももどかしい気分であり、どこか思春期の理由なきあのやるせない気持ち、または、赤ちゃん特有のお腹が空いたら泣く、眠いから泣くといった「身体的欲求が引き起こす泣き」のとにかく気持ち悪いであろう状態なのである。

大人になっても赤ちゃんみたいだったら大変だ。そこいら中でギャーギャーと泣きわめく大人が続出だ。流石にそれはないが、空腹時や睡眠不足によって明らかに不機嫌になる人は多くいる。気候による身体の変化に伴う気持ちは、そういった頭では理解できない肉体と精神の直結的なことによるものである。

ということで、不安定な気持ちになるこの時期は、できるだけリラックスしつつ、新しいことなどを始め自分を忙しくし、頭ではコントロールできない身体的感覚とできるだけ距離を作ってあげるに限る。だからこそ自然と新しいことをしたくなるのかもしれない。

春というのはそういう時なのである。






であれば、外に出て身体を動かすことを始めるのが手っ取り早い。こんなスウェット上下を着て。
運動以外の事でもいいだろう。ショッピングで物欲を満たすなんていうのもいいがとにかく外に出ることだ。春というのは外に出るだけで気持ちが良くなる季節なのである。朝も夜も身体と気持ちが緩む空気で溢れ、解放された様な気分になる。しかし、突然解放されると何をしていいのかわからず戸惑うことだってある。

なので、まずはリラックスすることが大事だ。深呼吸をして春の新鮮な空気を思いっきり吸い込む。香る空気から自然界で起こっている細かな変化を読み取り、季節の変化に対応させることが、肉体と精神にとって一番いいことだ。





バーニーズの別注はWEAVERのクルーネックタイプで、フードが無いのでよりリラックスでき、背中に熱もこもらず暖かい季節には快適な仕様である。





パンツの方は基本的には同じ仕様だがよりシンプルなスタイル。どちらもインラインとは仕様が違うものなので、色別注にはない協業の良さがある。バーニーズ的には、広い客層を意識した受け入れやすいシンプルなモデルを求めている。CITERA®は十分シンプルであるが、それをよりシンプルにするのだからまだ個性的なのだろう。



バーニーズに行って思うことは、シンプルなCITERA®はあの売り場では逆に目立つ、ということ。街に素っ裸の人がいたら目立つのと似ている気がするが、それとはちょっと違いそうだ。いずれにしてもあの場では馴染んでいながらもどこか違和感がある。当然良い違和感なのだが、その違和感もイマイチ掴みきれない。何がどうして、そう思えるのか? それは先に書いた、春に感じる違和感ととても似ている。確実にわかるが、何がどうしてそう思えるのかがわからない。



それは実際に見ないことにはわからないのであって、言葉や文字では伝えられないことである。春になり外に出れば、これまで見えていた冬の世界と明らかに違う空気がある。そして、それに反応する様に人々の笑顔にもより明るい雰囲気が見える。改めて春の息吹を感じに外出してみるのはどうだろうか。

東京、神戸、福岡で開催中のPOP-UP、そして別注モデルを見に行くことを理由に、これまでとは違う自分になっていることにも改めて気付く機会を作ってみてはどうだろうか。