TRIP REPORT

Entries by CITERA

しばらく前の5月の話なのだが沖縄に行っていた。今回はその時のことを振り返ったメルマガとなるのだ。そもそも沖縄に初めて行ったのは4、5年ほど前であり、そこから定期的に行く様になり、いつもオフシーズンの5月に行くことに。この時期は梅雨が始まるが、今回はギリギリセーフで晴れの日々を満喫することができた。


私の場合、特にダイビングなどマリンスポーツといったことには興味はなく、毎度海には寄り付かない。たまたま行った場所が海の近くであれば様子を伺う程度でちょこっと覗く程度。そもそも海に興味がないのは、海の目の前で育ったからだと思います。育った海とは全く違う綺麗な海ではあるが、近くにあればもうそれで十分な感じ。なんて嫌味なやつだ……。子供の頃から、海の近くに住んでいることを羨ましがられたが、住んだら住んだで難があり、特に子供にとっては海は遊び場でもあるが邪魔な存在となる。風の強い日は最悪だし、なんでも錆びる、潮の匂いはきつい。おかげで「磯の香り」と良い意味で言われる美味しいものも大の苦手(笑)。いや、本当に。海藻、貝類、魚卵、珍味などなど……。


といったわけで海で遊ぶことなど皆無であり、何故沖縄に行くのか。その主な理由は、沖縄そば、沖縄独自のタコス、そして最も重要なポイントは日本にいながらどこか異国にいる感覚。それを感じるために行っていると言っていいでしょう。どこに異国感を感じるのか? 地域特性の建造物、これは台風対策なのでしょうが四角いコンクリートのカラフルな低層の建物。そしてその背景には熱帯特有の緑があり、そのコントラストによりどこか中南米っぽく思える。言い方こそ悪いが「少し朽ちかけた古く荒っぽい街の雰囲気」。これがその中南米感を増長させているように思える。そこが好きであり、その中に身を置くとなぜか落ち着く上ワクワクしてしまう。街中に現れる熱帯の植物の存在も一役買っている。


中心地の国際通りは初めて行ってみたのだが、正直なところ、あまり興味がないのでどこが国際通りなのかさえわかっておらず、ポイントを絞り希望の店や場所にだけ行く。それではダメなのはわかっているが、如何せん覚える気がない。もっと他のことや場所を覚えるのに気がいってしまうのでどうしようもない。できるだけローカル感の濃いものに触れたいので、現代に汚染されていない独自の佇まいを保ち続けているところに目がいってしまう。今回面白かったのは、通りを歩く着物のおばさまの帯が少し崩れていたのを、道端でものを売っている別のおばさまが捕まえて、路地裏に連れ込み帯を整えてあげるというシーン。これを俗に「着物警察」と呼ぶらしい。都会では見られないこの着物警察。沖縄特有ではないですが、ローカルの空気感ならではの取り締まり。とても面白い。こういった出来事に遭遇するのも旅の醍醐味というやつ。


今回絶対行きたかった場所は少し上の方にある「SEA SIDE DRIVE-IN」。ここはスープが名物、というか地元の人はこのスープを必ず頼むのだとか。一見するとクラムチャウダーの様なくすんだ白っぽいとろみのあるスープ。そんな見た目から想像する味と実際の味は全く違う。ざっくりというと豚骨スープの様な味。いや、どうだったかな……。正直はっきりとは覚えていない。そのくらいの記憶に残らないぼやけた味。でもちゃんと美味しい。他のお客さんの見様見真似で胡椒をたくさん振ったことはよく覚えている。しかし、このシチュエーションで飲むこの不思議なスープは、どこか味のある体験を与えてくれたのだった。


そしてタコス。自分もタコス屋を週2で営んでおり、それはメキシコ直系のものなので、ここ沖縄のタコスとは別物となる。沖縄では「メキシコ」というお店が有名で、小ぶりなサイズでいくらでも食べられるほど美味しい。今回も行ってみたが、なんと臨時休業で食べられず。ということで急遽別の店をリサーチ、そして「チャーリー多幸寿」という店にたどり着き試してみることに。しかし、この当て字はどうにかならんものかえ……。カタカナかアルファベットでいいのに、というのは私の勝手な気持ちなだけなので、漢字で「多幸寿」これでおおいに結構だ。そして日本人なのだからそれでいい。




さてそのタコス、「メキシコ」のそれとはまた違うものではあるが、遠からずでありながらここはここで独特の美味しさがある。揚げてあるがしっとりしなやかなトルティーヤにごろっと大粒感のある挽肉が口の中で楽しい。サイズ感はレギュラーな大きさで3つも食べれば十分な満足を得られる。初回だったのでチキン、ビーフ、ポークと各1ピースずつを楽しみ、次回はその中から好きな味を2つにどれか1つで行きたいところ。好みとしてはチキン2つにビーフ1になることだろう。また次の楽しみができ嬉しさを伴い笑顔で店を後に。


そしてメインと言ってもいい沖縄そば。絶対に食べにいくお店は「高江洲そば」である。ここではゆし豆腐そばを食べるのである。それ以外は手を出したことないのですが、察するにどれを食べても美味しいことでしょう。切れ目なく客が来店し終始無言でそばを啜る姿がそれを物語っている。浦添市にあるこのそば屋の詳しいことは何も分からないが、ゆし豆腐とつゆの優しい口当たりにノックアウトで、これを食べずして沖縄旅行はないと思ってしまうほど。


もちろん高江洲以外にもそばを食べに行くのですが、今回行って良かったお店は「一本松」。珍しいのか普通なのかは不明だが、よもぎの無料トッピングがありこちらもローカルなお客さんで賑わい、オーソドックスで奇をてらわない安心のできるお味が好印象。


アクティブに何かをする訳ではないけれど、沖縄独特の街の雰囲気やその地の食べ物を普段の日常と同じ様に感じることが私の旅の楽しみ方なのだ。特別何かしに行くわけでなくとも、特別な時間がそこには存在し身体と記憶に刻み込まれ、新しい自分になった様に思えるのだった。





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