TRIP REPORT

Entries by CITERA

タコスの旅は続く。




バジェ・デ・ブラボ
シティから車を数時間走らせ、湖のある町バジェ・デ・ブラボへ。もちろんこの町に来ても口にするのはタコス。タコスを食べに来たわけではないけれど、足が向くのはやっぱりタコススタンド。一つの屋台でパストール、カルニータス、チョリソーその他数種類を扱う。ここでも高速で肉を刻み、次から次に訪れるタコスアディクトを裁いている。店のお兄さんは、一見強面だが声をかけると優しく、写真撮影にも笑顔で応えてくれた。


ナルコ。
この町に来るために通った高速道路で、「すれ違うデカいSUVや高級車はみんなナルコだから、写真とか撮ってると危ないからね」と友人は言う。ナルコとは麻薬組織の者のこと。我々の走る道では、その様な車としかすれ違わない。さらに「3台連なってる場合は真ん中にボスが乗ってるから」だそうだ。現実なのだろうが現実味がない。そもそも、メキシコでお金を持っているそのほとんどは、悪いことに関わっている人とも言う。どこまでが本当なのか分からないが、大袈裟な話でもなさそうだ。

もちろん、金融系やIT系の会社に勤めたり、事業を起こし成功する人もいるだろう。しかし、多くの市民は安い賃金で働いているそうだ。だからと言って、みんな絶望的な顔をして働いているわけではない。声をかければ笑顔で応え、何と言っているかは分からないが、親しげに話しかけてくれる。ラテン特有のフレンドリーな雰囲気はそこらじゅうに溢れている。色々と問題はある様だが、タコスを頬張りビールやテキーラ、メスカルを飲み、その日を終えられればそれで幸せなのだそうだ。死生観が違う様でそれでいいらしい。本当にそれでいいのかは分からないが、メキシコではそう思うくらい明日生きているか分からない、と思える状況と背中合わせなのかもしれない。


シウダード。
メキシコシティは表向き欧米風の見た目だが、人々の雰囲気はそうではない。アジアともインドとも違う。忙しなくごちゃごちゃし騒がしいけど、自由でのんびり。日本で感じるセカセカした雰囲気はない。イラつく様な状況でもイラついてる雰囲気はない。急いだところで何も変わりはしない、と言う雰囲気で時間の流れ方が違う。何をするにもうまくことが運ばない。だけど「大丈夫」らしい。



街の様子はスペイン統治の影響で、古いコロニアル建築のせいかダイナミクスを感じる街並み。昼の酒場は年齢層がかなり高く、何故か人のカラオケを聴きながら緩く過ごしていたり。美しい空の下に広がる街ではそれぞれが好きなように過ごし、平和な時間を作り出している。


さてタコス。シティのタコスといえばパストールと言われる中東のケバブの様な縦に重ねた肉を回しながら焼き、削ぎ切りにするタコス。街を歩けば10メートルおきに見られるスタイル。店によっての大小はあるがとにかくパストールだ。盛り上がっている店とそうでない店の差は大きい。盛り上がっている店の肉は大きい。そして人がひっきりなしに訪れてはタコスを頬張る。1人4つくらい注文し、次の場所に移動していく。行けた中で最も盛り上がっていたのは、昼間は車の修理工場で夜8時からタコス屋になる店だ。ここの勢いは他とは違う。肉を焼く火の勢いまでどこよりも強い。


マイス。
この国ではとうもろこしは欠かせない。古代から続く品種から遺伝子組み換えがされたものまで様々で、日本の甘いコーンから比べればお世辞にも美味しいとは言えない冴えない味ではあるが、それは食べ方次第。この国で食べられている方法であればどれも「うまい」のだ。香ばしくふわりとした柔らかいトルティージャ。

1人、年間120kgのトルティージャを消費すると言われている。それぞれが自分のお気に入りのトルティジェリアがあり、また自らもトルティージャを焼く。一日中トルティージャを食べている、と言ってもいいだろう。もちろん食べない日もあるがろうが、タコスやそれ以外の料理でトルティージャを食べることがメキシコ人のアイデンティティだ。我々の「お米」を食べる文化と似た様なものかもしれないが、それ以上に皆がとうもろこしに生かされている様に思えた。

まだまだ写真や話はあるので、別のメディアでこの続きが書けるかどうか今働きかけている。形になるかは分からないが、もしどこかで形になった時は何かしらお伝えします。





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