TRIP REPORT

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA

今回のトリップリポートはDAY TRIP編とでもいいましょうか普段私が良く行く場所をリポートします。

10月になりようやく気持ち的に秋冬に向き始めてきた。
私が住む町は神奈川の海辺の町で所謂「湘南」と呼ばれる地域にあり、春や秋になると鎌倉、江ノ島、茅ヶ崎などピンポイントの特集雑誌が出るような観光地である。
都心から電車や車で1時間ほどであり、寺社や自然があるためデイトリップにはちょうどよい地区である。

土日ともなれば、雑誌・テレビで紹介されるような場所や店には行列ができ、人でごったがえす。
人混みや並ぶことが嫌いなのでそんな爆心地のようなところには寄り付きもしない。
混んでいなくとも、ひとけの少ない住宅街にも、良い店や良い場所があり、この地域特有の「ゆるく流れる時間」をゆっくり味わいながら、のんびりと過ごすことができる。
そうやって過ごしていると、昔から文化人などが多く住む理由がなんとなくわかる気がしてくる。
前置きが長くなってしまったが、実際にある土曜日の1日を順に紹介していこう。

朝8時半に家を出て朝食をとるために向かった先は「ロンディーノ」。
1967年から続く町の喫茶店であり、後味にモカっぽい風味がふわっと現れる ブレンドコーヒーがたまらない。
美味しいと言われるコーヒーは数多あるけれど、自分にとってはここのコーヒーがベスト。
9時前に席に着いたのだが、9時を過ぎたあたりから席はみるみる埋まっていく。
昼を待たずして売り切れてしまうツナやタマゴを注文。
昼ならこってりとしたケチャップ味の、フライパンでじゅうじゅうと炒めたスパゲティーもいい。
午後にはプリンも売り切れてしまうことが多いので、食べられるうちにと、食後につい頼んでしまう。
鎌倉駅西口を出てすぐあるため、観光客で混み合う前にさっと食べて次に向かう。

そして向かった先は鎌倉の二階堂という町にある「覚園寺」。
ここは10時より1時間おきにご住職のガイドつき(\500)で境内を案内してもらえる。
右に苔で敷き詰められた地面、左に巨木を見ながら薬師谷戸を抜けると茅葺屋根の本堂が現れる。
この本堂にいらっしゃる十二神将像がたまらなく好きで定期的に見にくる。
50分ほどで回るのだが歴史や仏像に興味がなくとも、本堂、樹齢800年の巨木、築300年の家屋などが作り出す、今が21世紀とは思えない独特の空気感を十分楽しむことができる。
(境内は写真撮影禁止である。) 鎌倉でお寺を楽しんだ次は海にでも行ってみようということだが、海辺で育った者にとっては浜辺に行っても嬉しくなく、俯瞰的に海を見る方が気分が盛り上がるため、逗子にある大崎公園へ行く。

その道すがら、昔心霊スポットとして流行った「名越トンネル」手前にある「邦栄堂製麺所」に寄り、水餃子の皮をと思ったが、この日はまだできあがっていなかったので餃子の皮と中華麺を購入。

邦栄堂製麺所から10分もかからずに披露山高級住宅地につき、そこを抜けてきつい坂道を登ると、頂上がその大崎公園である。
公園といっても手入れの行き届いた広場といったところだ。
途中逗子マリーナ越しに江ノ島、富士山を望めるのだが、この日は曇りのため頂上付近がうっすら見える程度。
公園の先頭にいくと逗子葉山の町をメインに相模湾半分を見渡せる。
この公園の横にも披露山があるのだが、そちらは動物がいて公園らしいので人がそこそこいる。
静かにゆっくりと景色を楽しむなら断然大崎公園だ。
海水浴シーズンが嘘のように静まり返った海岸線をドライブしながら茅ヶ崎方面へ向かう。
要所要所で渋滞があるが、この時期は潮の流れのせいで海水も澄んでいるので、稲村ガ崎から腰越辺りはグリーンがかった綺麗な海が続く。

そろそろお腹も空き始めるので、茅ヶ崎方面には良い鮨、蕎麦、中華など候補があるが、この日は町の小さなパン屋でありながらガレットを出す「プレイン」に。
住宅街にあり、テーブル数も少なく来る客も近所の人たちが多いため、12時を避ければほぼ座れるという素晴らしいお店。
ここはガレットも美味しいがクレープやデザートも最高だ。
最近、焙煎機も導入し自家焙煎のコーヒー豆の販売も行っている。

そしてもう1店はこちらもパン屋で地元の人たちに愛されている店「パイニイ」。
藤沢は片瀬山麓に位置するこの店は、80年代にできたこともあり、木でしっかりと作られたリッチな店内が心地よい。
15時以降は8割空席というのもよくここに来る理由だ。
広いリビングのような店内で、パン屋で売っているパンをかじりながらコーヒーをすすっていると、なんとも贅沢な気分になってくる。
そして自宅に帰って、ゆるい気分のまま邦栄堂製麺所で買った餃子の皮で餃子を作り、夕食は自宅で中華麺を食べて1日を〆るのである。
「湘南」という言葉は大嫌いだが、そう呼ばれている地域が持つ自然や文化財、店、人が大好きであり、それらが作り出す時間と空間がとても魅力的なのだ。
この地域から離れられない理由はそれなのだと思う。



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