TRIP REPORT

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA

今回はロサンゼルス・トリップリポート。
2泊という非常に短い時間でロサンゼルスを縦横無尽に走り回る。
一般的な観光スポットさえ知らない状態で、自分の感覚に任せた行き当たりバッタリの旅。

まず、今回絶対に行きたかった街があった。
それはBurbank(バーバンク)という街。
友人に言ったら「なぜそこ?!!」と驚かれたが。
そこは昔、撮影スタジオや録音スタジオがあったので、映画の街とされていた。
自分にとっては、映画よりもそこの音楽スタジオや映画会社ワーナーのレーベルからリリースされていた音楽が好きだったのが、今回訪れたかった理由。
それらの音楽は「バーバンク・サウンド」呼ばれ、そのネーミングと優しいハーモニーの利いた乾いたサウンドに心惹かれていた。
NEW YORKでいうところの、60年代にキャロル・キングなどの作曲家たちがたくさん集まっていた一角TIN PAN ALLEYみたいなものか。
もう既に、そこに行けば何かがあるわけでもないことはわかっていたので、ファンとしては街の雰囲気とそこに行ったという既成事実が欲しかった。
さらに言えば、16歳の頃に好きだったミュージシャンが「この街であるギターを買った」というエピソードをなぞりたい気持ちもあった。
そこで「Imperial Vintage Guitars」というギターショップに行ってみると、90’sサブカル音楽キッズ達の憧れエフェクター「MAESTRO」がポロっと売ってはいたが、お目当てのギターはあるわけもなく。

Burbankを後にし向かった先は、Tarzanaという街にあるギターショップ「NORMAN’S RARE GUITARS」。
こちらも今回絶対に行きたかった。
コレクションブックを出すほどそのコレクションはすごく、日々お宝級のギターが出入りしている。
もちろん、名プレイヤーがこの店に現れることもあるようだが、この日は特に著名な誰かがいたわけでもなく、店の隅っこで壁に向かい、壮絶なテクニックでスパニッシュギターをひたすらかき鳴らす人がいて思わず聴き入る。

グルメリポートなんてする気はないが、今回朝食で向かった3店舗は書くに値する店だったのでご紹介。
朝8時にLA空港につき、そのまま向かったのがEcho ParkにあるOstrich Farm。
初のアメリカドライブにかなりビビりながらの道中、ここに行くまでは絶対に事故るものかと120%の集中力でなんとか無事に辿り着く。
驚くほど洒落た外観にしばらく見とれてしまう。
通りに馴染んでいるにも関わらず、はっきりと区別されたその佇まいが美しくて画になる。
外観どおりソリッドだけど美しい色と盛り付けのタルティーヌや、驚くほど甘く色鮮やかなフレッシュジュース。
全てはオーガニックに違いないが、もうそんなことはどうだっていい。
ここは今のカリフォルニアを味わえる店なのだろう。

Ostrich Farmもここも友人からの紹介なのだが、こちらは行ってみて分かった。
ジャムで有名な店だ。
レジ横にあの有名なパッケージのジャムが積んであって分かった。
とにかくすごい行列に驚く。
なんとなくは予想していたものの、カリフォルニアの強い日差しにもめげず並んでいる人たちを見ていると、本物の朝食にありつけると理解できる。
中にはミーハー心剥き出しの者もいるが(自分もそっちだ)、食を生活の中心と考える人達が集っていそうだ。
オーナー自身が食を楽しく大切に考えた結果この店ができただろうことは、カウンターとセンターテーブルで15人も入れない店内と、同様のキッチンサイズを見ればわかる。

さすがにそれだけでは足りないので、通りに幾つかのテーブルがある。
忙しいキッチンを見ていれば、いくらだって並んでられそうなほど見ていて楽しい。
お目当はふうわりとさせたリコッタクリームとジャムをのせたブリオッシュトースト。

健康を心配したくなるほどに盛られたリコッタクリームは、店からのいたずらと思えてしまうほどだが、フレッシュで味の濃いジャムのおかげで完食できる。
優しいいたずら好きのオーナーからの洗礼といった感じだ。

宿泊先からほど近い場所に、100年近く続く老舗のカフェ(ダイナー)があることを知り行ってみることに。
最終日の朝6時、パンケーキとベーコンをオーダー。
ご老人がゆっくりと運んくるその姿がなんとも愛おしい。
そして2分ごとにコーヒーを注ぎにきては「ほら飲んで飲んで」と急かされる。
もてなし好きの祖父母の家に遊びに行った様でなんとも嬉しくなる。
クーパー捜査官の「スーパークリスピー!」ばりのカリカリべーコン(ピント合わず)にアメリカを感じ、その歯切れの良さに乾燥地帯であるカリフォルニアの空気を重ね合わせたりと、朝から脳がよく働く。
オシャレでもなんでもない街の定食屋なのだろう。
だが、それが異常なほどにしっくりとくる。
いつまでもおじいちゃんにコーヒーを注いでもらっていたくなる。



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