TRIP REPORT

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA

CITERA(R)クリエイティブ監修である梶原氏アテンドによる3 都市 の旅リポート。
第3 回目はNEW YORK。
世界中から集まる人、物、欲、金、夢の 街を実感した4日間 であった。

ニューヨークでは、グランドセントラル駅近くに氏の定宿と化したホ テルがある。
初日の朝は散歩がてらEss-a-Bagelまでサーモン/ク リームチーズサンドを食べに行く。
ここでニューヨークに来たこと をボリュームのあるベーグルと共に噛み締める。
早朝、グランドセントラルのホールで仕事へ向かう人の波を見つ つ、そのものすごいスピード感の中に身を投げ込む。
都市に行った時は、その街が持つリズムをつかむことが大事だと 思う。
街と自分との距離感をできるだけ縮めるために、その街の「普 段」に身を置くことは儀式の様なものだ。

Ess-a-Bagel
831 3rd Avenue New York, NY 10022

近年のニューヨークが面白いと思うのは、9.11から金融経済混乱 以降に起きた意識の変革によってもたらされた、個人の視点が生 きた小商い、地域産業を活かした物作り等の成長が著しいという こと。
いずれにしても「キャラクター」がしっかりとあることや、衣食住に おけるそのビジネス発展の速度はさすがである。
グランドセントラルでのニューヨーカーのそのスピード感がそれを 物語っている。
今回の3 都市の旅はそういった人や地域の個性を反映したショップ や場所を中心に廻ってきたのだが、やはりNY。
その規模はすごい。

産業用ロープを使い、ユニークなバスケットを作るアーティスト Doug Johnstonのバスケットを取扱っているウェストビレッジにあ るCalliopeへ。
ホイットニー美術館のミュージアムショップでも取扱いがあったが、 種類の多いこちらで物色。
大小さまざまな色と形のバスケットが至 る所に点在するので、一見使っているかの様だ。
ランドリーバスケットやオブジェとしか思えない程の大きなものや、 何に使っていいのか皆目分からない蟻塚みたいな形といった、日 本ではお目にかかれないタイプもあり、見ているだけでも楽しくと ても刺激的だ。
今回日本を発つ前に、「アトリエを覗かせてもらえないか?」と連絡 を試みたの だが、「一年で一番忙しいクレイジーな時期だから、ま た今度是非連絡を」と丁寧な返事をもらったので、それはまたの機 会に。
もちろん彼とは面識なんてありはしない。
わざわざ海を越え ていくのだから、旅ではそのくらいの欲を出すのもいいだろう。
我々 日本人には「旅の恥はかき捨て」という言葉もある。
お陰で次に繋がったのだから。

Calliope/ 349 West 12th Street New York, NY 10014

ブルックリン・ウィリアムズバーグにて週末開催されている Brooklyn Fleaも必ず見にいく。
冬場は屋内というのは非常に助かる。
今年始めに行った時は「入 場料$1」はなかったけれど、もっと払ってもいいくらい楽しめる価 値は十分ある。
ブルックリンの歴史的なシンボルだというこの建物 に入るだけで楽しいのだから。
このマーケットでたとえ買うものがなかったとしても損した気分に ならないのは、骨董品好きの友人宅にでも来たかの様なフレンド リーな雰囲気を味わえるからだ。
フードエリアでは噂に聞いていた「Raindrop Cake」(水信玄餅) が。
名前がいい。
食べている人もそこそこいる。
ケミカルでもなく、 自然美を思わせるその姿、そしてそのネーミングから今のアメリカ 人が好みそうなのも理解できる。

Brooklyn Flea/ Brooklyn, Williamsburg
SKYLIGHT ONE HANSON

ブルックリンにあるスニーカーショップ「KITH」のマンハッタン店で は面白いプレゼンテーションがあった。
ナイキのスニーカーに合わせたシリアルのコーナー。
実際に買え るのかは未確認だがレジもあったので恐らく…。
アメリカのキッズと言えばスニーカーとシリアルは必須なイメージ だけど、これを見てそれは絶対的な組合せなのだと確信。
シリアル もパッケージも実にポップで、白を基調とした店内にスニーカー同 様、彩りを与えている。

KITH/ 644 Broadway at Bleecker Street New York, NY 10012

ニューヨークをいろいろ見て回っている最中、常に気になって仕方 がない場所があった。
それは老舗のアウトドアショップ「Tent&Trails」。
廻る順序がある ので大体夕方あたりになるのだが、「好物は後にとっておく」感もあ るのか期待は膨らむ。
もちろんそれは商品目当てだけではない。
地下のバッグコーナーに 紛れてメローな雰囲気を出している看板猫とのコミュニケーション も待ち遠しいのだ。
商品が毛だらけなのに店主も猫もお構いなし。
そのメローさが、店内に溢れかえった膨大な商品で無くなりそうな 狭い通路さえも心地よくさせる。
そんな雰囲気と、思わぬ商品に出 会えるからこそまたこのお店に還って来たくなる。
それはまさに、「登山家が下山中またその山に還ってきたくなるの と同じ感覚」というのは言い過ぎだろうか。

Tent & Trails/ 21 Park Place New York, NY 10007

何年も前から行ってみたい場所があった。
The Carlyle Hotelの 地下にある 「Bemelmans Bar」。
お酒を飲まないせいかなかなか行けなかったのだが、夜、梶原氏 とともに足を運んだ。
日本では、黄色い帽子を被ったかわいい園児「マドレーヌちゃん」 は有名だが、その作者はあまり気にされていない。
作者のリードヴィッヒ・ベーメルマンスは絵本以外でも名著を出し ている。
しかし日本語訳はされていない。
世界各地を廻り様々な 食べ物やホテルなどについて書かれた本は、時代を超える名著と 言われているのにだ。
仏語か英語版を頑張って読むしかない。
そんな作者がこのバーの壁全面に絵を描いたのだ。
黄金の壁に描 かれたそのかわいい絵達。
しっかり「マドレーヌちゃんと園児達」 もいる。
テーブルにあるランプシェードという細部にまでそれは描 かれている。
黄金の壁とベーメルマンスの絵、夢の様な場所だ。
アッパーイーストサイドの高級ホテル内にあるため、大人たちが しっとりと過ごしているのかと思ったのだが、ジャズの生演奏をも かき消す程の賑わい。
席に着くことすら難しい。
状況は違えど、二十歳の頃初めて来たNYで緊張しながら行ったク ラブの喧噪が蘇ってくる。
何とも不思議な空間だ。
カウンターでは、フレッド・アステア似のスーツ姿の老紳士が一人 カクテルグラスを傾けていたことに、NYの夜を感じずにはいられ ない。

Bemelmans Bar/ 35 E 76th Street New York, NY 10075



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