ドイツには複数回行っているがBERLINにはまだ1度しか行ったことがなく、その1回でとても魅了された街だった。もっとも驚いたのは、西と東に分かれていた時代の名残りが街のいたるところに影を落としていることだった。もちろんそれはこちらの勝手なイメージかもしれないが、そう感じる空気がそこにはあった。
街のど真ん中にスパイミュージアムがあったり、東西を隔てていた壁がオブジェの様におかれていたり、ナチス時代の犠牲者の慰霊碑があったりして、旅行の浮かれ気分どころではない時間を過ごさざるを得ないこともあった。それでもというか、それだからなのか非常に惹きつけられる。
空港も新しくなり益々行きたい気持ちが膨らみ破裂しそうだ。爆発なんてしないけど……。
さて、今回のメルマガは旅のレポートではなくプロダクトのメルマガでしたね。このバッグについてはそこそこ商品ページで書いているのでそれ以上に書くことはない……。なんてことはない。
時間をおいて考えてみても、やはりドイツへの憧れがあってのこのアイテムである。グレーにしたのは自分自身の持つドイツのイメージ。ドイツに行くのはいつも寒い時期だったので、どんよりとした天気の時が多く空は重くグレーがかっている。もちろん晴れてる日も多いと思うが僕にとってはグレーの国である。
空はグレーだが街には色や柄が沢山ある。特に好きな地区クロイツベルクはトルコから多くの人が移り住み、色も柄もごちゃごちゃしてて面白い。そのせいか治安の方はあまり良くないみたいだがそれもまた良し。トルコ以外からも人が移り住んでいることもあってか、とにかく至る所に雑多な雰囲気があって面白い。スパイスや植物の香りから怪しいタバコの香りまでしてきて刺激的だ。
バックパックにもそんな雰囲気が入れられたらいいなと思う。流石にバッグといったプロダクトに街の雰囲気を直接的に反映させることなどできない。写真をプリントするとかはできるだろうが、そういう簡単なことはやりたくない。
できるだけ実用性のある現実的バックパックにしたい。その結果、チェックの生地やアルミなど世間で見るバックッパックにはなかなか見ない要素を入れ込めればと。当然このバッグからベルリンやドイツの匂いや雰囲気は見て取れない。もちろんこういった話や説明をすればなんとなく感じるかもしれないけど、ダイレクトに伝えることは無理であろう。
デザイン的にはハルトムット・エスリンガーやバウハウスといったドイツのデザイン哲学からの影響はある。そもそも彼らは世界的規模でデザイン界に影響を与えているわけだから、世の中のプロダクトはかなりの確率でその影響下にあると言えるだろう。
正面パネルの斜めに走るルーバーや全体的な甲虫っぽい形とかは明らかにその影響が出ているし、中の仕切りというか小物入れの設け方はドイツ人のカチッとした真面目な性格の様に感じる。といった風に、ドイツに憧れていると勝手に全てそちら側にこじつけてしまうんだなと我に返ってみたわけですが、何れにしても、使いやすさと見た目が両立したプロダクトが優れたものであり、そこを目指すことはドイツデザイン哲学に通じるのは確かである。
CITERAからドイツを感じられるかではなく、見た通り直感的に使えていつまでも付き合っていたいと思えるかどうか、これを第一にしてこれからも進めていきたいと思うのである。