PRODUCT STORY

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA

 

関東の梅雨はまだ明けていない。
例年なら7月20日前後に明けるものだが、今年はまだしばらく明けそうにないらしい。

夏も始まっていないのに秋冬の話をするのは少々せっかちな気もするが、僕の心は既に秋冬アイテムを欲している。
アウターや裏毛ものでなければ蒸し暑い今にだって着ることは出来る。
特にパンツはウールとかでなければ何の問題もない。

とは言え、秋冬アイテムが入ってくるのは9月であって、どんなに欲したところでそれまではただ待つしかない。
でもただ待っているなんて退屈だから、中でも待ち遠しいものの一つであるデニムについて少しだけ話そう。





この春夏シーズンでインディゴデニムを出した。
これは、今自分が本当にはきたかったデニム。
綺麗な青みのある生地に、テーパードが効きすっきりとしたシルエットはありふれたスリムタイプではなく程よいボリューム感を持ったもの。
バックポケットの形、細かいアタリやねじれを誘い出す縫製など、雰囲気もあり上品なインディゴデニム。






そしてありがたいことに、それが早々に完売してしまうという予想外の結果に。
手に取れなかったとの声もあり、気になる箇所をいくつか調整しマイナーアップデートをもって9月に再リリース予定。




さて、今日のデニムの話はインディゴではなくブラックデニムについて。
ブラックデニムと言えば、もう15年くらい前だろうか、A.P.C.で1本購入。
全くはいてないわけではないのに、今だに色具合に大した変化はない。
もちろんはき込んだというわけでもないのでそれも当然か。
しかし「はき込む気になれなかった」というのが正直なところ。
インディゴは色が落ちていくその過程を楽しめるのに、ブラックではデニム生地の成長過程を過保護な親の様に温かく見守ることができなかった(黒デニムに対する個人的な意見ねw)。



そもそも真新しい黒いデニムを心からはきたいと思っていたわけではない。
はいてみてやっぱり好きになれなかった。
では自分は黒いデニムに何を期待していたのか?

それは、はき古してグレーに色落ちしたデニムである。
古着屋に行けば5千円から1万円の間で見つけることが出来るが、古着をはきたいわけではなく、表情もシルエットも上品に見えつつグレーに色が落ちた黒いデニム。
だから今期、いや来期か、そんなデニムを作ってみた。

加工でグレーに色を落としてはいるが、ダメージはつけていない。
ましてや少し黄色味を持たせる「汚し」もしていないのでとても綺麗に仕上がっている。
各所に行き過ぎていない自然なアタリがあり雰囲気も十分である。



形についても触れておこう。
このブラックデニムはインディゴと違い少し細めに仕上げてある。
シルエットがよりよく見える様に股上も少しだけ浅くし、インディゴよりもさらに上品な面持ちになっている。
その上品さをさらに引き立たせるのが、自然な陰影を持つ生地感。
のっぺりとした平面的な表情にならない様細心の注意を払いながら施された加工。
それがこのデニムの最大の魅力。
そしてそこに花を添えるかの様にシャイニーリベットが光を放ち、モノクロの世界に輝きを与えている。
あぁ、なんてプロダクト的なアイテム(自画自賛w)。
ブラックデニムもインディゴ同様に、ジャストとルーズで2本用意して履き分けたいと思っている。

177cm 65kg  M(ジャスト) & L(ルーズ)

ちなみに、インディゴのLサイズの方はまだ糊をつけたままの状態で履いています。








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