PRODUCT STORY

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA®

 

ここ数年良いリジッドデニムをずっと探していたのだが、買うに至るデニムに出会えなかった。どこかしらに要らぬデザインが入っていたり、形が極端にデザインされていたりして自然なものがなかなかない。ものすごく拘ったヴィンテージ踏襲型のものも良いのだけど、ストレート過ぎる形がどうしても今の気分ではない……





A.P.C.とかLEVI'Sなんてのもいいのだけど、結局そこに頼る形で落ち着くのも気分的に納得いかない。そろそろ自分にとって未体験の新しいデニムを欲する気持ちが強くなってきたのだ。「もし自分で作るとしたらこんなデニム」という生地、形、ディテール含め理想のイメージは完全に固まっていたし、自分がそんな気持ちなら他にも同じように思っている人もいるのではないか?そう思いCITERA®で作ってみることに。




生地のイメージ:濃紺過ぎず洗う前から青みの出ているもの、洗っても毛羽立ちが少なく光沢の強い生地。
形のイメージ:今っぽい股上の浅く腰回りが小さいものではなく、深めでゆとりがありつつテーパードをしっかりかけスッキリと見える形、視覚効果でよりスッキリ見える形状のバックポケット。






ディテール:リベットはピカピカ、ヴィンテージLEVI’S 501XXに見られる各ディテール(ステッチ色の使い分け、コインポケット裏セルビッチ、ユニオンミシン等)、手押しパッチ。




という風に、そんなイメージは作る予定がない時から決まってた。というより、自分の好みの寄せ集めなだけだ。

僕はそれを少しゆったりとはきたいからLをはいてるけど、よりスッキリはきたいなら一つ下のサイズを選ぶのが良いかもしれない(お腹の出具合と相談してね)。もしくは、通常サイズを水通しし乾燥機にぶっ込む!とか。小さくなり過ぎる可能性もあるからそこは一か八かで(笑)。




もっとも拘りたかった箇所がある。サイドの縫い箇所に使う縫糸の太さである。ヴィンテージに見られるサイドのアタリの中心にあるものすごく細かいアタリ。実物を手に入れられない若い時にはそれが何であるか分からなかった。ヴィンテージデニムについて詳しく書かれた書籍などを読み漁ったがその箇所に関して触れているものはないし、不思議だった。

後に実物を手にし観察してわかったのが縫糸の太さの違い。その細かいアタリがあるものとないものでは糸の太さが違う。糸の強度が上がった60年代を過ぎるとその細かいアタリは消えている。より古いものならではの太い糸だから生まれるディテールである。しかし、これははき込んでいかないと見られないので隠れたスパイスである上、気にしない人が殆ど。

だったらそんな拘り要らないじゃん!と言われそうだが、はき込んでいった時に一つでもディテールが多い方がいい。そこに価値が現れる。もちろんそれは、はいている個人だけの価値だが、それが気持ちやプロダクトを豊かにする。そう信じているしデニムは生き物であり一つと同じものはないから、できる限りの可能性は持たせておきたい。デニムってのはマスプロダクションであるにも関わらずどこか手工業品に近い。特に古いものは作業者の仕事ぶり、当時の生産ラインの管理体制、供給資材の変化などその個性が出やすいので、できる限り個性的な部分を持たせたいのが作り手側の気持ちである。



ヴィンテージデニムに夢中になり、追いかけている中で興味深かったマーケットでの出来事がある。2008~13年くらいの時期に相場が底をつき手を出しやすくなったこと。加工デニムの技術向上により、多くのブランドから加工デニムが出るピークを迎えた。それにより数万円も出してヴィンテージを買う必要がなくなり、マーケットからヴィンテージ市場に対する意識が低下し始めた。

そんな状況に追い打ちをかけたのがリーマンショック。その影響で手元の価値のあるヴィンテージを手放す人が多く出たことで相場が急落。こちらとしては待っていましたとばかりに古着屋に通い、好みのものを手頃な値段で買った。今となっては安く物も揃っていたあの時に借金してでももっと買っておけばよかったと少々後悔もあるが、またそんな時がくることもあるだろう。その時までCITERA®で愛すべきディテールを詰め込んだデニムを作りながら待つことにしよう。



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