PRODUCT STORY

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA®

STORY第31回はSLIDER X-BAGについて。
今のところ、春夏時期にリリースしているSLIDER BAG。
今シーズンのものは表にX-PACという素材を使ったもの。
X-PACはヨットの帆のために開発された素材。
軽量、防水、強度と優れた機能素材であって、昨今この素材を丸々使ったバックパックなどもあったりする。




3層構造の特殊生地なのだけれど、真ん中にポリエステル糸をX状に走らせ強度を出し、ポリエステル素材のフィルムをラミネートして防水にしている。
ヨットのセイルクロス(帆)は綿の帆布だったわけだけれど、帆布ってすごくしっかりしているからとても重いのだが、このX-PACが開発されたことはヨット(特にレース)に関わる人たちにとっては非常に大きな出来事だったと想像できる。
強度も上がってさらに軽いのだから、小躍りでは済まなかっただろう。




SLIDER BAG自体はフラップ一部にX-PACを使っている以外、外装はキャンバスというタフな仕様。さらに内側はコーデュラリップストップなので、雨で濡れたり、湿った地面に置いて水が沁み入ったりして中が濡れるということはよっぽどでは無い限りない。
川とか池で水中に落ちたらそれは完全にアウト! 野外のイベントとかキャンプなどで使っているうちに濡れた場合、という範囲での話。



話は変わるが、昨今のサコッシュブームでバッグ業界は大変らしい。
大きめのものは売れずこういった小さなバッグが良く売れるそうだ。
単価の高いものよりも安いものが売れると利幅が小さくなるので困るのは当然だが、市場がそうなっているのだから仕方がない。
でもそうすると、どこも小さいバッグを作って販売するわけだから、世間にはそれが溢れるわけだ。空前のサコッシュブーム。
飽和状態が来るだろうからその次は沢山の荷物が入る大きなバッグでも流行るのだろうか?
現代社会を考えればそれもなかなか考えにくい。
世の中がテクノロジーの発達によって便利になり、だんだんと手荷物が減ってきた現代社会にピタッとハマってサコッシュが流行ったわけで、テクノロジーの進化で荷物が増えるわけでもないだろうし。



先日、出掛ける際に財布を持たず出てしまい最寄りの駅に着く頃にそれに気づき、戻るのも億劫だったのでスマホの決済でどこまでできるか試すよい機会と思い、そのまま電車に乗ってみた。
その日は都内での打ち合わせがいくつかあり、割とあっちこっちと動く日だったので試すには絶好だ。
暑い日だったこともあり途中デパート内の喫茶店に入ったりもした。
うっかり入店の際に電子決済ができるかどうかを確認せず席につき、アイスティーを1杯頼んでしまった。
現金は一切持っていない。もし電子決済ができなければ無銭飲食となる。
もうそこそこ大人なのにやってしまった。
ドキドキしながらレジに行くと運良く電子決済が使えるサインがあり、店員に泣きつくこともなくピピッとスマートに支払いを済ませ次の打ち合わせ場所まで向かった。



その日は、PCがあったので鞄を持たざるを得なかったが、小さなタブレットで済ませられるのなら小さな肩がけバッグで事足りる。SLIDER BAGなんかもってこいだ。
スマホ、タブレット、ティッシュ、ハンカチそれくらいなら余裕で入る。
別に入れるものがなくたってそれを持って流行りに乗ればいい。
なんとなくサコッシュ。
そんな80年代にあった様なフレーズでも口ずさみながら。

テクノロジーがもっと進んでしまえばサコッシュさえ持たなくて良い可能性だって出てくる。
ただ、ティッシュとハンカチを持たないということはなかなか考えづらいので、やはりサコッシュくらいのバッグは持っている必要はありそうだ。
これだけ「サコッシュ」と言っているとすでにもう飽きてきてた感があるが、もうしばらくこのブームは続くのだろう。
集金時のヤクザだってサコッシュを使っているかも知れない。

そして今後サコッシュはどう変化・進化して行くのだろうか?
元々は自転車レースの水分や栄養補給のためのペラペラの簡易的なバッグだったわけで、多機能なものが出て来るなんて考えもしなかっただろう。

サコッシュを入れるためのサコッシュだって出て来るかも知れない。
ちょっと荷物が増えても大丈夫なように折りたたみのエコバッグを装備したサコッシュ、なんなら大きなバッグにコバンザメの様に引っ付いたサコッシュ。もうサコッシュとは言えない、大きなサコッシュだって出て来るかも知れない。
そんな風に本質を見失ったバカな商品や状況が出て来ることを期待している。

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