PRODUCT STORY

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA

STORY第35回はM-2 SHIRTSについて。 COOLMAX®素材のリップストップ生地を使ったミリタリーシャツ。
この手のシャツというのは真新しい雰囲気が似合わないので、ポケット、襟、袖口その他の縫い位置などに凹凸感が出るように加工で「アタリ」を出した方が良い。生地にも少し使用感がある方が格好良く見えるし、そのもの自体に雰囲気がでる。



ただ、加工をかけすぎ古着のようにくたくたになってしまうと、だらしなくなってしまうのでそれは避けたい。
このシャツのメイン素材はコットン68%、ポリエステル32%であるため、コットン100%生地では加工によりくたくたになってしまうところだが、アタリは出ながらも生地が持つハリ、コシ感による凛々しさから清潔感が伝わってくる。



素材については、野外などで活動する際の様々なニーズを満たすように設計されたCOOLMAX®を使っているので、涼しくドライな着心地、ストレッチによる身体の動きへの対応力があり、快適性を保ってくれる。
実際に袖を通してみると、少々大げさかもしれないがこのまま軍に提供されても良いと思ってしまう程に、快適で着やすい機能的なシャツである。

しかし、軍で使うようなユニフォームそのままではつまらない。
軍モノが着たければ本物を着れば良いわけだし。
CITERAで作る以上、機能性もあり快適な着心地であると同時に、デザイン性にも優れたものでなければ意味がない。
もちろん、ただの装飾のためのデザインではなく、機能性が作り出した結果のデザインであることでCITERAとして成立する。



背面の帯状の切り替え部は、バックパックを背負った際におこるバッグのエッジとの摩擦に対応するため、メインの素材よりも少し厚手で強度のある素材を配した結果である。
また、フロントの切り替えは……



正直に言おう。
これは単純にファッション性を出すためのデザインであって機能ではない。

では何故?
これがないとただのユニフォームになってしまうから。

CITERAはただの快適な作業着を提供しているわけではない。
快適でありながらも日々を楽しく過ごせることが必要であると考えている。
そのために日常着でもユニークさは欠かせない。
もちろん過剰なものを提供するつもりはない。
派手で個性的なものは山のようにあるのだから、それがよければそちらを選ぶことだってできる世の中だ。



無地とチェックやストライプの掛け合わせは一見強いコントラストでコーディネートしづらいように思えるが、オーセンティックな柄が落ち着き与え、柄部も下腹部に位置するためそれほど主張もなく、普段シンプルなスタイルを好む人にも馴染むものである。

全てのデザインが機能美であることは確かに理想的だ。
もちろんそれでなければ許されないプロダクトもある。
しかし、それだけでは息が詰まってしまう気がする。
なにより、身につけるものであれば余白や遊びを持っている方が魅力的である。もしそういった余白や遊びがないものならただの道具となってしまう。
もし道具だったとしても、余白があればそこに自分を反映させられるし、そこに遊びがあれば日々の生活にも楽しさが出てくるだろう。
CITERAとは、ただ便利さを、ただ快適さを提供するだけではなく、人生を楽しむための道具を作っている。そんなブランドなのかもしれない。



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