PRODUCT STORY

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA

STORY第32回はWAVEセットアップについて。
このアイテムは毎シーズン生地や細かい仕様を変えアップデートさせている。生地の中間層に波状に走る繊維があるのが特徴の生地。秋冬は肉厚に、春夏は薄くライトに。
秋冬の肉厚のものであってもとても軽く、中間層に空気を蓄えることで温かい。ヘヴィーウェイトのスウェットとは比べ物にならないほど軽い。
そして最も大事なことは、膝や肘などの可動部が”抜けない”ことだ。





スウェットというものは動きやすかったり、快適な着心地であるけれど、お洒落着として成立しづらいことがある。それは先に言った”抜ける”ということ。
抜けてしまったスウェットほどだらしないものはない。どんなにお洒落であっても家着で出てきてしまった様に見えてしまう。

CITERAのWAVEアイテムで使う生地はPE72%、綿28%で非常に抜けにくく織り上げてある。
ただ抜けないのが良いのであれば100%化繊を使えば簡単だが、どんなに良くても、見た目がトレーニングジャージーのような化繊感バリバリのものでは、場合により田舎臭くなってしまうので、それは避けなくてはならない。
なので、生地の表情は綿製品同様の質感に仕上げてあり、綿28%はそのためである。

パンツの膝上の切り返しであるが、内側斜め下に向かって走らせることで見ため的には膝下を長く見せる効果がある。
そして機能としては、斜めに縫うことで引き合う力が下から上へ徐々にかかることで生地がより抜けづらく、さらにウエストにかけてのテンションも軽減されることでウエストや股部にかかる負担も少なくなる。

新幹線や飛行機といった長時間の移動時、楽なスタイルで乗りたいと思うのは当然。
しかしながら普通のスウェットパンツなんかで乗れば、目的地に到着した頃には膝のあたりが象の下っ腹のように「だる~ん」と伸びているだろう。
象は可愛いが、膝の抜けたスウェットは可愛いものではない。


これはパーカーやスウェットシャツにも言えることで、肘や首周りがくたびれたものは紳士としては避けたいところだ。
寝起きみたいな格好でキャビンアテンダントにキメ顔で「ありがとう」なんて言っても後で笑い者にされるだけだし、伸びたスウェット上下で自動改札を通れば「夢遊病者が歩いてるぞ!」なんて言われかねない。

スポーツブランドのトレーニングウェアもいいけれど、プロスポーツ選手だったり運動部の遠征でないのなら、彼らとは違ったものを選んで快適に移動するのが現代のお洒落さんといったところだ。

CITERAは時に、お節介な母親のように世話をやくのだ。
「あんた、膝の抜けたのやら首が伸びたのなんて脱いでこっち着て出かけてらっしゃいっ!お母さん恥ずかしいわよ~」と。

BACK TO INDEX