STORY第29回はPAPER DENIMについて。
まさかデニムアイテムを作るとは思ってもみなかった。
CITERAはアウトドアやスポーツウェアが持つ機能性を街着のレベルに合わせ、足し引きすることで都市生活を快適に過ごせるウェア提案をしている。
そういった中にデニムという選択肢はなかなか思いつかないというか、入れられる素材ではない、というのがデニムに対する考えだと思う。
基本的に見た目も質感もワークウェアのためのもので、硬く分厚く「快適」という言葉からは程遠い。
もちろん個人的にはデニムは大好きな素材であり、インディゴで染め上げられた糸が見せる光沢感や色の落ち具合などはとても魅力的である。
好きだからと言って無理やりデニム製品を作るのは違うと思っていた。
ある日、紙繊維を使った靴下を紹介され、それがとても快適だということを聞かされた。
蒸れにくくいつまでもさらっとしていて臭いも出ないのでサラリーマンに人気の商品なのだとか。
天然繊維で機能的というのは実に理想的だ。
先日ヨーロッパのアウトドア・スポーツの展示会を見てきたのだが、どのブランドも環境に負荷を与えないエコな製品作りを第一に、様々な素材や生産工程を目指していることを唱えていた。
そういった意味で天然繊維もアウトドア・スポーツ界に積極的に取り入れられているのが現状である。
だからというわけではないが、快適であるのなら取り入れない手はない。
そもそも自分自身のデニムウェア着用率も高いわけだし。
天然素材でどこから見てもアウトドアウェアではないのに快適で機能的というのは、都市生活を快適に過ごすというCITERAのコンセプトとフィットするわけだし。
というわけで、紙繊維と麻で春夏に合わせた12ozのデニム生地を織ってもらい上下作ってみることにした。
経糸は麻、緯糸に紙。
紙繊維は綿などと違って平たく、空気の層がないため熱を溜め込まない上、水分の吸収率も高く乾きも早い、要するに吸水速乾である。
そして綿よりも軽いので着心地も通常のデニムより良い。
ジャケットは第2次大戦中に作られたリーバイスのファーストモデル、パンツは505を基に、よりテーパードをきかせたモデルに仕上げ、レザーパーツなども加え快適で楽しいデニムウェアとなっている。