PRODUCT STORY

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA


TROOPER CARGOは90年代終わり頃ロンドンにいた時、週末のポートベローロードに集まる古着商人のマーケットで買ったものをベースに、CITERAっぽくアレンジしたもの。その元のカーゴパンツもスリムとまでは言わないが、細めで形の綺麗なものだった。確かオランダ軍かドイツ軍のどちらかだったはず。パラシュート部隊とかフライトタイプのドカッと太いものも格好いいけど、当時はよく知らなくてこういう細いものもあるんだな~、という具合で珍しがって買ったのを覚えています。もちろんそのもの自体は珍しいものでもなく、軍パンといえばただ太いものばかりと思っていたし、その頃は細いパンツを好んで穿いていたということもあり、£20くらいで買ったのでした。その頃は円安で£1=¥250くらいだったからポンド表記は安いけど、円換算すると安くなく、その頃の日本の古着と同じくらいだったのだと思う。




細身ということで、フィールドパンツという感じだと思うがそれが実にCITERAっぽくて、リアルな軍モノというよりも街着っぽく思えた。実際それを穿き24inchのBMXに乗りロンドンの街を移動していたので、そんなノスタルジックな気持ちも込め、スタイルはそのままで生地やディテールを足し、今っぽいかはわからないけれど、季節的にも爽やかで軽やかな雰囲気の街着として仕上げてみた。もう一つのカーゴパンツはこれよりも軍モノっぽい雰囲気なので、カーゴパンツに慣れていない人はこちらの方が穿きやすいのではないかと。しかし、カーゴパンツに慣れていない人なんているのか?と思ってしまったが、そもそもカーゴパンツという認識を持たずして穿いてる人も中にはいるだろうから、慣れているかなんて全く関係ないことである。






関係ないが、おじさんはポケットが好きである。それは単にものを入れられるから、という理由であってスタイル的にどうのということではない。カーゴパンツやフィッシングベストを着ているおじさんは多い。そういったおじさんが着ているのは、フィッシングベストというよりも作業着といった方が良いか。週末に郊外のホームセンターなどに行くとそういった格好のおじさまたちに遭遇する。木材やパーツ、園芸あたりのコーナーに多く分布している。それが趣味なのか実益なのかは分からないが、とにかくいる。流石にポケットのたくさんついたベストは着ないが、カーゴパンツを穿きそういうコーナーを物色する自分も、ハタから見たらその仲間入りを果たしているわけで、人のことをどうのと言える立場ではない。


そう、軍パン、いや、カーゴパンツなるものは若い者が穿いてこそカジュアルであって四十も過ぎた者が穿くのであれば、TPOを考えないとただの作業着となってしまうのである。とはいえ、CITERAのカーゴパンツはそんな風には見えない(と思っている)からそんな余計な心配などするべからず。しかし、カーゴポケットからステンレスの定規が出ていたり、耳にペンなど挟んでいたら、あっという間にそっち側に行ってしまうので気をつけるべし。気を緩めてはならぬ。お洒落をしたつもりが、日曜大工のパパさん丸出しにならぬ様気をつけたいものだ。

スタイリングの画像を見て貰えばわかる様に、そんな雰囲気なんて全くないパンツなので、上に書いてきたことは面白半分に書いただけなので気にしないでいただきたい。しかし、気が緩んだ隙にそうなる可能性はなくもない、と肝に銘じておく様に。


カーゴパンツとジャケットを合わせたりするのも面白いと思う。ジャケットとそれのパンツをセットアップで着るのが楽ではあるが、ブラックやネイビーのAUTOBAHNとオリーブのカーゴを合わせたりするのも良いと思う。少しジャケットよりの格好を意識し、白いシャツを合わせるとなかなか格好いいと思う。スニーカーもいいのだけれど、ブーツやワラビーを合わせた方がより格好いいと思える。LIAM JKTはワーク っぽいスタイルなのでカーゴとの相性もとても良さそうだ。気の利いた大人の遊びのあるスタイリングといった感じである。是非トライして欲しいし、自分もそういうスタイルを楽しんでいこうと思う。


これまでジャケットなんて着てきたこともないので、AUTOBAHNを作って以来、それまでのカジュアルなスタイルにそのままジャケットを加えてスタイリング的には少々乱暴な感じだとは思うが、それも段々と板についてきてCITERAのスタイルも少しずつ世間に馴染み始めているように思える。といってもディテールばっかり気にした地味目のスタイルなのであまり気づかれないが、街で少しは目にするようになった。気にしているわけではないけれど、なんとなく目に付くというか、やはりどこか違って見えて逆に目立つ、という感じか。だからと言って派手さが前面にあるわけではないので、その人は街に馴染んでいるのである。そういう風に街で客観的にCITERAを目にすることができるのもとても嬉しいことである。

おそらく、これを読みCITERAを身につけているあなたも、街を歩けばひっそりと誰かにその様に思われているのかもしれない。今、CITERAは密かに街に出始め、誰かの目に止まっては同じ仲間がいる、と思われながら街を侵食し始めているそんなウェアなのである。

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