あれよあれよという間に、うっかりしてたら12月になっていたというくらい時が経つのは速い。歳を重ねれば重ねるほど時間の経過を速く感じるのもそりゃそうだ。分母が増えれば1年はみるみる小さくなっていくわけなのだから。では仮に、200年も生きられたとしたらそれはそれは1年を短いと感じるでしょう。そんなに生きられるわけでもないのに、そんなことを考えたところでしょうがないのだけれど……。そんなことよりも、今すぐそこにまで来ているこの冬の寒さに対して考えた方が良さそうだ。
すっかり定番と化した生地POLARTEC® Windbloc®。軽くて風を防ぎ保温性も高いとなればこんなにいい素材はない。さらに言えば肌の触れ心地もいいときた。よっぽど寒い0℃以下の日でなければこれで十分だ。もちろん中はちゃんと着込んだとしてね。その、よっぽど寒い日だったらこの上にシェルやダウンベストなんてのを重ね着するのもいいかもしれない。暖かい上に少し面白いスタイリングになる。面白いとは聞こえが悪いが、なかなか洒落た装いになる。アウターにアウターを、なんていうスタイリングはなかなかやらないことだけど、寒さを言い訳にすればおかしなことではないし、極寒な気温ならむしろそれが正しくさえ思えてくる。そもそも、ファッションなんて着る人の自由が尊重されるものだし、それを否定する権利なんて誰にもないのだから。
もちろん人それぞれの美意識や価値観があるから「あれはいい、これはイマイチ」などの意見はあるだろう。しかしだ、だからと言ってそれが一般論や識者によるジャッジとして存在されては困る。そんな評価をする様な奴らに代表して一言言おう。「お前に言われる筋合いはない」。
着たいものを着たい様に着る。寒いから着る、格好いいから着る、理由なんてそんなところ。
さてこのBERNSTEIN COATは、POLARTEC® Windbloc®を使い、サイドに切替パネルのあるクラシカルなスタイル。ラグランスリーブでシルエットは少しざっくりとした雰囲気になる。レナード・バーンスタインというアメリカ人指揮者であり作曲家、ピアニストでもあった音楽界の巨匠がいた。彼がこの様なスタイルのコートを着ていたかどうかは知らないが、威風堂々とした表情の彼にはこういった形のコートはよく似合ったことだろう。そう思ったことで彼の名を拝借しアイテム名にしたのだ。
もちろん音楽界の巨匠の様に威厳のある雰囲気は出せないが、コートを着るだけで少しだけどこか立派な大人になれた様な気がする。裾の辺りが風で翻ったり、両手で襟を立てるさまなどは大人の仕草だ。もちろん小さな子供がやるのも可愛いのだが、やはりそれらのポーズは大人のためのものである。子供にはあげない。ここまで辛酸を舐めはいつくばって生きてきた我々大人のための仕草だ。だからコートだって大人のためのものだ。精神年齢が幼いのだからコートを着て大人ぶらせてくれ。精神年齢との違和感をどこかに感じながら、コートを着ている時は大人を謳歌できる様な気がする。だからコートが好きだ。もちろん、膝辺りまでなんとなく暖かい様に思える防寒着として着ることもあるが、大概は大人ぶるために着るのだ。自分の場合は。
もう背伸びをしてコートを着る、なんていうことはないし、背伸びどころか背中を丸め体を縮こませて着るくらいの年齢だ。それなのに未だどこか大人ぶろうとしてしまう自分がいる。人生80歳としたら、折り返し地点はもうすっかり過ぎているのに。バーンスタインの様な立派な大人になりたい。と思ってみたものの、バーンスタイン本人は「私は立派な大人だ」なんて思っていたのだろうか?いや、絶対にそんなバカなことをいちいち思わなかっただろうことはすぐにわかる。余計なことなど考えずに音楽のことを一番に考えていたはずだ。「そんな無駄なこと考える前に勉強しろ!」と怒られるに違いない。。
頭の中は常に自由だ。だからこのPOLARTEC® Windbloc®のコートとバーンスタインが一切関係がなくても、そんなアイテム名を付けよう、と思えてしまう。音楽界の巨匠の様な名実ともに素晴らしい存在を心や頭の中に常に宿らせておくことで、志を高く持つことを忘れずにいられる様に思える。どんな時であっても志を持って生きることが大事だ。不安な時、心が折れた時、寂しい時、そんなとにかく楽しくなれない時は悪い方向に持っていかれる。だから立派な大人に見守っていて欲しいのだ。私を守ってくれ、助けてくれ、と。そんな思いがあるからコートを着たいのかも知れない。着ることで、自分は大丈夫だ、立派な大人に守られていると思える様な気がする。それがレナード・バーンスタインだったとしたら、どんなに最悪な状況でも心が折れず乗り切れるような気がする。
この寒さからBERNSTEINに守られているんだ、とね。
ちなみに、このPOLARTEC® Windbloc®を使ったグローブもとても優秀。今季はこれまでと違って紳士がしてそうなスタイルの大人っぽい仕上げにしてみましたので、こちらもよろしくお願いします。