昨年秋冬にリリースしたWEAVERのアップデート版がこちらのWEAVER II。安易ではあるが、名前そのままに「II」をつけたことでマイナーアップデートに思えるが、実際は違う。流れは同じだが仕様的には全くの別物である。シンプルでクラシカルなパーカースタイルをCITERA流にアレンジし、いつの時代であっても肩肘張らず気楽に快適に楽しめるスウェットパーカーとなる。結果それが少々大袈裟ではあるが、今風な表現で言うところの「モダンテクニカルスウェット」というやつなのである。
では何が「モダン」なのか?そのあたりを話していこう。まずは生地だ。パーカーもパンツも同じWEAVERと名乗っているので当然同様の生地であり、いわゆるセットアップとして着られるものである。ちなみに、昨年のものとは生地は別物となる。
パーカーのフロントファスナー、パンツのバックポケットに使ったYKKエクセラはシャイニーな質感であり、スムースな見た目と滑りを得るため丁寧に仕上げられたもの。滑らかに滑りながら、スムースに心地よく噛み合う振動が指を通して伝わってくる。この小気味よい感覚がとても優雅でうっとりしてしまう。
ファスナー如きでいちいちうっとりしていたら忙しくて仕方がない、とこれをお読みの方は思うかも知れない。しかし、そのファスナーを引く指に意識を集中させてみれば、その感覚に魅了され普通のゴリゴリと荒々しく噛み合うジッパーにはもう戻れない。そんな風に大袈裟に言ってみたくなる程なのだ。それだけではない、光に反射したその輝きはアクセサリーさながらの輝き。向かいにいる相手がその光の反射に目を眩ませながら「お、いいもの着てるな」と思うことであろう。
お次はフード内の起毛裏地だ。表地や裏地としてダイレクトに使える様に進化させたPOLARTEC® ALPHA®。そのソフトでジェントルなタッチは優しく暖かい上、ウルトラライトマテリアルなのだ。フード内に別生地を使っているからといって重くなることもない。そしてハイネックパターンにより、首回りから頭まですっぽりと包みこみ、ネックゲイターなど無縁の頼もしい完璧な仕様だ。
それだけではない、吸湿発熱素材THERMO LITE®により保温性能まで併せ持ち、生地表面に使われた綿のお陰で見るからに化繊の様な嫌味のある光沢感は一切なく、しっとりと落ち着き有機的な風合いだ。もちろん触り心地も慣れ親しんだコットンスウェットの様である。
それでいて、アウター素材の様なハリとコシを持ったタフな性質を持ち、シャキッと綺麗なシルエットを保ちながら、膝や肘などが抜けることもない。もちろん全くないとまでは言えないが、だらしなさ、くたびれ感に落胆することはないだろう。
そんな調子の良さそうなものなら上下着たくなるところだが、スウェットを上下でとなると、些かルームウェアっぽく見えてしまうのは否めない。しかしそんな時はコートやジャケットを羽織り、スニーカーでもいいが、できればスエードのワラビーやデザートブーツ、もしくはブーツを合わせれてみればとても都会的なスタイルになる。もちろんロッキー・バルボアの様にスウェット上下にニットキャップ、そしてコンバースオールスターHIなんていうベタベタのクラシカル過ぎるスタイルも悪くはないのだが、やはり前者の方が、モダンテクニカルスウェット感を楽しめるものである。
さて、パンツの方にもフォーカスしておかなければならない。ロゴの入ったお馴染みのリベットがポイントではあるが、アルミ製キーリング、可動時の縫い目への負担軽減とテーパードの安定性を確保するための同色同生地によるサイドスタビライジングラインがお洒落な雰囲気とシルエットの良さを演出してくれるのだ。リブで強調しすぎの絞りは一旦休憩し、程よいギャザーでボリュームのある裾を経由し足元のシューズという流れで下半身はキメていきたいではないか。
ミルフィーユの様に層になった生地構造が生地内部に空気を抱え込むことで保温性が確保でき、コットン100%のクラシカルなものよりも断然暖かく、寒さからあなたの下半身を守ってくれるのだ。もしそれ以上の暖かさを求めるのであれば、ALPHA CARGOやPWB系のパンツをお勧めいたします。