PRODUCT STORY

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA

 

LUFTさん。関西出身でもないのにこのアイテムを自然と「さん」付けで呼んでいた。メルマガを書くにあたって口を突いて出たのは「LUFTさんのメルマガねぇ~、さて何書くかねぇ」である。それに気づいた瞬間、このLUFTに対する気持ちが普通じゃないことを理解した。

これまでいくつかセットアップで着られるジャケットとパンツを作ってきた。このLUFTさんはその中でも一番身につけている。気づいたら毎日のように着ていたのだ。それは非常に珍しいことである。




毎日着ているからといっても、もちろんちゃんと洗濯しながら着ていますよ。なにせすぐに乾きますので、というか、乾くと言うか洗濯機から出した時点でほぼ濡れていない様に思え、思わず袖を通してみたくなってしまうくらい。流石に洗濯機から出してそのまま着るなんてことはしないけど、晩に洗えば翌日着られる。ただ、パンツのベルトはそうもいかないのでそこだけは、サーキュレーターをあてるとか除湿器使うなどで乾きが早くなる様にした方が良いと思う。






そんな訳でほぼ毎日の様に着ていたからか、他のものよりも親しみが深くなり、思わず「LUFTさん」、と出たのかもしれない。それだけでなく、住み込み修行僧作務衣というかどこかユニフォームっぽくもあり、着ているとなぜか毎日着たくなってしまう雰囲気を持っている。そもそも、襟を立てて着ていることもあってそんな風に思えるのだろう。夏も室内の冷房対策にこれをバッグに忍ばせておくことになりそうだ。


アイテムに関する詳しいことは、こっちのメルマガで読んでもらえれば良いとして、そんなこともあってこのLUFTさん、これまで作ってきた中でもっとも日常的に着られるものと気づいた。もちろん、作った時にはそんなことは微塵も思わなかったわけで、どちらかというとすごく冷たいというか、ソリッドな見た目なので愛着が湧かなそうに思えていた。このソリッド過ぎるデザインはちょっと格好つけ過ぎたかな?と心配さえしていたくらい。わからんもんですなぁ。


そんな風に思えるのは、パンツの裾を絞っているからでもあるだろう。これが他のセットアップのパンツの様なテーパードの効いたクールな雰囲気だったら、見た目の通りソリッドで親しみ感のないもになっていたはずだ。そっちの方が良い、という人もいると思うので、そんな場合は他の種類の同色のものを合わせクールな雰囲気でキメていただければいいわけで、何も同じもので合わせることもないし、そんな堅いブランドではない。なんでも気にせず自分の好きなように、その時の気分や雰囲気で自由に着合わせればいい。


他のブランドのものだっていいし、デニムだっていいし自信を持って自分の持ち駒の中で着回して欲しい。もちろん、しっかり上下合わせても大いに結構。あれがだめ、これがダメ、これをしろ、あれにしろなんてなく、CITERAはノールールである。文句を言ってくる様な奴がいたら言ってくれ、そいつのところに一緒に行って謝ってやる!一体何を謝るんだ?と冗談めいているが、ここまで書いた「LUFTさんが親しみやすい」ということは冗談や思いつきなんかではなく、しばらく着続けた本人が本当に思ったことだ。

LUFTさんは、生き物ではないし、性格があるわけでもない。なのに「あれ?こいつ思っていたのと違うぞ」と予想外な方向に自分を持っていってくれたトリッキーな奴だ。だからこそ、生き物の様にどこか親しみを持ち「さん」付けしたくなったのかもしれない。そんな不思議なLUFTさんなのである。

このLUFTさんに限っては、そんなことを初めて思った珍しい奴であり、実際に毎日着て生活をすることで気がつくことができた。なかなかこんな体験はできないと思う。もちろんこれは僕の頭がどうかしてるからこそ思っただけのことかもしれない。はたまた、LUFTさんを着ることでもっとおかしなことを思う人もいるかもしれない。それは着てみないと分からないのである。


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