PRODUCT STORY

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA

STORY 第7 回目はWALKER PACK について。
WALKER PACKというネーミングから、 このバックパックは歩く人のための、それもよく歩く人へのもの。
と思われそうだが、そうではない。
自転車、バイク、車その他、移動手段は何だって構わない。
つまり全ての人向けのバックパック。

人は歩く。
そして歩くことにより進化をしてきた。
どうやら一度に沢山の食べ物(資源)を 運ばなければならない環境から2 足歩行は始まったらしい。
当然、口にも物をくわえて運んだに違いない。
物を運ぶ手段は、手(その当時はまだ足)と口のみ。
それから考えると、完全な2 足歩行となり、 さらにものを運ぶために袋を使う様になるまでは、 相当な時間を要したわけだ…

そんなことを考えながら、 現代人に合ったバックパックとは? と考えていたので 「WALKER(歩く人)」という言葉が浮かび、 「WALKERとは人そのもの」と考えるに至る。
ではいったい、 「今のWALKER=現代人」に必要なバックパックとは いったいどんなものだろう? 現代人、現代人、現代人…とまた考えるうちに、 現代人は考えることが好き。
もっと言うと工夫することが好き。
ということにたどり着いた。

ならば、工夫するためのきっかけとその余白を作ろう。
そんな考えから メインパネルに4つのフックをつけることになった。
  このバッグを手にした人はそれを見て 「これは何のために?」と考える。
考える間もなく、コードを通し「何かをはさむ」に至るほど それは簡単なものではあるが、 それでも少しは自分で手を加えるための余白となり、 他人のそれとは違うWALKER PACKにすることができる。
たかだか上着を挟む程度のことだが、 その工夫によりバッグにちょっとした「変化」が生まれる。

他人のそれとは違う自分のWALKER。
ある人のWALKERは無地の真っ黒いコード。
またある人のWALKERは数色の派手なコード。
さて自分はどんなコードがいいか? コードストッパーの在庫が豊富なお店はどこだ? 週末アウトドアショップにコードを見にいこう。
などと考えを巡らすのも楽しい。
もちろんコードを通さず、何かを引っ掛けるだけでもいい。
骸骨のキーホルダーや、X’masが近いのでX’masオーナメント などを飾りつけ、楽しいWALKERにしてもいい。

ただ物を運ぶための袋から、その袋に個性を持たせ自分を投影させ、 「物を運ぶ」というカバンの本質的な意味を越えたことにまで至るには 相当な年月がかかったわけだが、 物を運ぶことさえ楽しもうと する人の素晴らしさを感じずにはいられない。
CITERAが人々の生活に、 一つでも多くの楽しさを作ることができるブランドになれたら、 どんなに素晴らしいことだろう。





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