DIRECTOR’S JOURNAL

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA®

LFOM Vol.12

last friday of month 2020.5.29

風薫る5月を楽しむこともなく、雨季へと流れていく5月末。
僕らの2020年は、移りゆく季節を楽しむこともなく、窓のない通路をただひたすら走り続けている感じなのだ。
そんな状況に同情することなく、時間というやつは「チクタク」と身の回りの様々なことに惑わされることもなく正確に時を進めていくのである。
あぁ、なんて残酷!半日止まるとか、せめて1日1時間進まないとかそんな優しさを見せてくれたっていいのに。
なんて馬鹿馬鹿しいことを考えながらぼーっとしていると、心臓の鼓動にふと気づく。
「あぁ、こいつも時と同じように止まることもなく動き続け、僕の身体を時の先へと推し進め、今日も死に一歩二歩と向かっていってるんだ」。
僕らに平等に与えられているものは「時間と死」である。
「時間よ止まれ!」なんて思っている場合ではない。

「時間よ止まれ」と書いてて思ったことがある。
もしかしたら、誰かがこれまでに何度も時間を止めているかもしれない。
だけど誰かの思惑通りならそいつ以外は止まっているに決まっている。
であれば僕は止まったことさえ気づかずに「時間、止まんないかな~」なんて馬鹿なことを考えているわけだ。
まさに馬鹿だ。
時間が止まれば、男の子なら銭湯の女湯に入ってみたりとかエッチなことを考えたり、銀行の金庫に入って札束もらいたい放題でそれで好きなもの買うんだ!と馬鹿極まりないことを授業中に窓の外を見ながら考えたりしたもんだ。
だったら銀行行かないで直接お店から物をとればいいのに、変に現実的に考え極力悪いことをしないように悪いことを考えたりする。
とにかく男の子なんて馬鹿である。

で、何が言いたかったのか?ということを問われるなら「特に言いたいことはない」ということを言いたいだけである。
とにかく、僕みたいに好きなように生きて来た人間にとってこの「コロナ禍」で思ったことは、今書いてきたことくらいで普段と何も変わらないのである。
「いままで通り直感にしたがって生きること」はやめられないということ。
その方がシンプルでいい。
この文章だって行き当たりばったりのデタラメだしね。

そうそう、デタラメな文章ついでに言っておきますと、デタラメな話をインスタグラムのライブ機能を使って週1で始めました。
CITERAについてとかその他諸々の話をしています。
そしていつも制服のように BAHNHOF JKTを着ているのだけど、とても快適だ。
普通に家でダラダラしてる時もシャツのように着れるところがお気に入りの理由。
コミュニケーションツールとでも言いますか、CITERAはお店も取り扱いもないので接点がない稀有なブランド。
オンラインで簡易的にショッピングできるブランドなわけだけれど、どこか人間臭さがあった方がいいと僕は思っている。
だからこんなコンテンツやプロダクトについてのメルマガや旅に関するメルマガを書いたり、自分がサイトに出て来てwebデザイナーさんがせっかく作ってくれた素敵な雰囲気を崩してみたり。





人間社会に出て来て混乱を巻き起こすウィルスみたいなもの。
でもそれって生き物の本質のように思えていて。
全てが予定調和では面白くない。
そう「毒」、毒が必要だ。
コロナみたいに人の命を奪ったりするわけじゃないから悪いものじゃないけど、全てがキレイ過ぎたり、整い過ぎでは飽きちゃうよね。
だからこうやって長い文章を書いてみたりもする。
これだってCITERAの商品を構成する一部なのである。
やっぱりCITERAを理解してもらうためには僕の一部がどんなもんであるかも見てもらう必要がある。
とても長い前置きになってしまったが(原稿用紙で言ったら4枚分ほどw)、今回は僕が捨てずに大切にとってあるものの一部を紹介します。







まずスケートボード関連。
マーク・ゴンザレスが大好き。
14歳から彼のデッキには何枚も乗ってきた。
中でも好きなこのイラストのデッキは何年も前に出た再販ものだけど、「color my friends in」とメッセージがあるところが当時気に入り、言われた通りマーカーで塗り込んだもんだ。
流石に当時のものは残っていないので再販のキレイなものを。
そんなゴンズとは数回会ったことがある。
中学生の時にデモで来日した時と、大人になって東京で一緒に食事をした時。
初めて会った時にサインをねだったら表側に絵を書いてくれた。






次の板は藤原ヒロシさんの家で遊んでいる時に、暖炉の薪にされるところを救ったT-19江川くんモデル。
「燃やしちゃうのは勿体無いからもらいますよ」と言ってもらったウォーホールモチーフのECデザインデッキ。
これはある意味貴重なもの。




お次はスニーカー。
これはvisvimの前に働いていたシューズブランドが今は亡きGOODENOUGHに別注した時のサンプル。
発売されなかったバージョン。
デューンブーツというモデルでもこのカラーリングでGE別注のサンプルがあったのを記憶している。




visvim FBTというモデルの1stモデル。
これはエルクという大鹿の革のもの。
確か、クリスマスに身内用に白のエルクレザータイプを配った時に数足だけスタッフ用に作った茶色のもの。
ゴローズのゴールドビーズに付け替えたりした。
当時よく、藤原ヒロシさんやvisvim中村さんに連れられてカスタム用のコンチョやビーズなどをゴローズに買いに行ったのを記憶している。
そしてその次のシーズンにこんなニットのフリンジを付けたものも出し、非常に評判も良かったが制作するのが結構大変だったと記憶する。









十代の時ヴィンテージブームがあり、古着屋のショーケースでこのNIKE AIR LEISUREに一目惚れした。
スニーカーに詳しい雑誌BOONでライターをしていた岸くんから、これがACGより遥か前にその根源的な存在であると聞かされた。
グローブなどで使われる上質で丈夫な革とシューレースのケバケバがとても良い印象を作っている。



adidas PRO MODELの80年代フランス製。
観賞用として3足持っているうちの1足。
同じ年代なのに個体ごとに違う雰囲気を持っているのが3足も持っている理由。
デニム同様大量製品でありながら人の作った温かさみたいなものを持っているところに惹かれる。




visvim中村さんから当時クリスマスにもらった初代iPod。
20年経ってもこのデザインは魅力的。
ディーター・ラムスが作った携帯用ラジオのデザインを踏襲しているあたりがその理由だと思える。



そしてそのデザインを残しつつデザインにも進化の見える4代目くらいのiPod。
ラウンドしてて手に馴染みながらデザインとしてとてもかわいい。
Appleの第2期快進撃中のグッドデザイン。




Joseph Beuysのポストカード。
これはフェルトのレプリカだけど、木や硫黄を塗ったものなどもあり、CITERAのフェルトのタグはこれがモチーフ。
ボイスにとって馴染みのある素材をポストカードにし、身近な生活の中に総合芸術作品を感じさせようとする姿勢が現れている。




今月は自粛もあってなかなか人に会うことも出かけることもなかったので、こういったCITERAを構成する細胞みたいなものを紹介しましたが、来月はどうなってるかな? まあ先のことを考えても何ともわからないので、またその時に紹介したい気分になったものを取り上げてみますので、次回もお楽しみにしていてください。
そして インスタグラムのライブにも是非お越しください。
CITERAにとっては唯一の交流の場となります。
お店みたいなものとでも思ってください。
接客しますので。
それではまた次回!