ここ最近どこかのよその国に行ったか?と聞かれれば
「さて?どこか行ったかなぁ?」とおとぼけ気味でそう答えてしまいそうなくらいしばらくどこにも行っていない。
とは言え、全くどこにも行っていないわけではなく、10月16日~31日まで行われた限定店舗の設営のために京都へ行ったついでに、奈良まで仏像を観に行くことにした。
1日ではあるが室生寺、安倍文殊院、當麻寺と3つの寺をって廻って来たので今回はその模様をレポート。
実に渋い内容なので覚悟して読み進めて欲しい。
京都で朝食を済ませ車を借り、向かうは最初の目的地奈良県宇陀市。
高速に乗り一時間もかからず奈良県に入るのだが、高速を降りてからの田畑の脇道と山道が続く。
途中かろうじて舗装されているような山道が続いたりして不安になるが、何とか目的地である室生寺に到着。
別名「女人高野」として有名なのだが、その辺の歴史的なことはさほど興味もなければ詳しくもない。
室生川に架かる橋がいかにもな感じで気分が高揚してくる。
非常に風情のあるアプローチと境内の石段や透明度の高い小さな池を横目にお目当の仏像めがけて足を急ぐ。
お目当ては重要文化財に指定された十二神将である。
1メートルも無いくらいの小ぶりな仏像は非常に繊細な造りとなっている。
決めのポーズに寸分の狂いもなく、指先まで確実に神経が行き届いているようで全く隙がない。
そして身に付けている衣と防具のディテールの細かさには舌を巻くほど。
「かっこいい……」と思わず声に出してそう呟いてしまう。残念ながら仏像のある金堂内は撮影禁止のため画像は無し。
仏像を観に行ったことをレポートしているのに肝心の仏像写真がないのだ。そういう意味でも今回の内容は渋いのである。
十二神将
http://www.murouji.or.jp/hotoke/p6.html
田園風景にうっとりしながら次に向かうは安倍文殊院。
「3人寄れば文殊の知恵」の文殊菩薩で、こちらは獅子にまたがる7メートルのメガ菩薩。
そして導を務める善財童子の振り向き加減が実にいい。
菩薩様に「なぁ善財」と声を掛けられ振り向いてる有り難い一コマ。
何が有り難いって、1203年頃に作られたそうなので800年以上も振り向きっぱなしなのだから有り難くないわけが無い。
文殊様御一行
https://www.abemonjuin.or.jp/treasure/
寺院を廻って仏像を見るのはなかなか疲れる。
あちらは数百年前から存在しているわけだから、大が100個ほど付く大先輩なのでこちらもそれなりの覚悟と緊張感を持って接する。
既に午後を過ぎ空腹も絶頂。ここらは三輪素麺の産地ということで三輪山本へ。
初めて0.3ミリの「白髪」を口にしたが何とも不思議な食感。
異常なほど細いのにコシがあり「一体何食ってんだ?」という印象。
もちろん美味しいのだが素麺を食べている感覚ではなく、なかなか面白い体験だった。
ほっそい麺を手繰っている間に14時を過ぎていたので次なる目的地、當麻寺へ急ぐ。
當麻寺は2回目。3年前の春に来て以来の再訪。
ここは金堂の四天王、本堂の曼荼羅と須弥壇、そして奥院にある宝物館の二十五菩薩来迎像が見ものである。
この曼荼羅はレプリカではあるが江戸時代以前に織られたもので重要文化財。
須弥壇の螺鈿細工は500年以上も前のデザインでいつまでも観ていられる。
来迎像なんてブリスターパックのフィギアがあったらコンプリートしたいと思う程の素晴らしい一体感。
どれも和かな表情で楽器を持ち踊りながら天から降りて来てるので「このバンドに入りたい!」と願ってしまう程、楽しげな雰囲気である。
四天王
http://www.taimadera.org/feature/shitenou.html
本堂曼荼羅
http://www.taimadera.org/cultural/index.html
二十五菩薩来迎像
http://www.taimadera.or.jp/about/aw/raigo.html
かなり駆け足で廻ってきたのでなかなかの疲労感。
當麻寺近くにある中将堂本舗でよもぎもちと煎茶で休憩。煎茶の温度とあんこの糖分が身体に染み入る。
しっかりとしたよもぎの爽やかな香りのおかげであんこが得意でなくとも無理なくいただける。
本当はもう一軒廻る予定だったが時間オーバーで断念。
奈良は、興福寺のスーパースターこと阿修羅、アルカイックスマイルでおなじみの中宮寺菩薩半跏像、無限ループの新薬師寺十二神将なども含めて3日ほど掛けてゆっくりと見仏したいものである。