TRIP REPORT

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA®

お早うNew York!
カーテンを開けると透き通った空気の向こうに青い空と朝の渋滞のコントラストが現れる。
普段以上に早起きしたくなる街、これを見る度ゾクゾクする。
これぞNew York。



散歩がてら朝食を摂りに外へ出ると、目には見えないが確実にそこにある冷たい空気が顔や耳に刺さり、まだ眠たい頭が一気に冴えてくる。
歩きながら朝の街の流れを目に焼き付けるのが好きだ。
馴染みの通りや公園を歩きながら、頭の中でクリームチーズとサーモンベーグル、クリスピーベーコンにパンケーキ、スクランブルエッグとハッシュブラウンにトースト…… どれにしようかと迷うことを楽しむ。

湯気が立ち上る交通量の多い通りを横切りクラクションを浴びる。
紅葉しかかる街路樹が続く通りを歩きながら何を食べようか? なんて考えるのは至福の時間。



ベーグルならEss-a-Bagel、Black seed Bagel、David's Bagels、Murray's Bagels。すっかり落ち着きを取り戻したClinton St. Baking Co.、アッパーウェストの老舗good enough to eat、メニュー豊富なミッドタウンのJohnny's Luncheonette。

皆、店の景色にすっかり同化している。ニューヨーカーを気取るためには冷静な表情で時折窓の外に視線をやりながら朝食を食べる。浮かれて写真を撮ったり、スマホを見ながらなんて食べてはいけない。
食べ終えたあたりに「コーヒーのお代わりは?」とタイミングよく現れるウェイターに笑顔で「もちろん」の一言。コーヒーをすすり余韻に浸りつつ、頭の中では今日一日をどう過ごすか組み立てる。
5分で決めなきゃダメだ。糖分が脳に回り始めた最初の活動タイミングで直感的に組み立てていくのがいい。
「よし、今日は文化的にいこう」



Broadway STAから地下鉄Fラインに乗ってLexington STAで降り、2ブロック横に移動してMadison Aveを上がると突如現れた踏み台を逆さにした様な建物The Met Breuer。エントランスや地下のレストランも良い。



複数の現代アーティストをまとめた展示が目的だが、



別の階での彫刻の展示なども楽しむ。
もう少し歩き螺旋状の建物Guggenheimもいい。展示次第だが建物自体を見物するのもいい。



もし時間が午後を過ぎてたら、77丁目Carlyle Hotel地下にあるバーBemelmansで休憩するのが最高だ。
壁一面に描き巡らされたルードヴィッヒ・べメルマンスの絵を堪能しながら、 ゆったりとドリンクやカクテルを味わう贅沢な時間。


さて地下鉄に乗ってSOHOに戻ろう。
地下鉄に乗った時は絶対に人と目を合わせてはいけない。理由なんて知らなくていい、それがこの街のルールなのだから。
スマホや本、足元など目のやり場を常に決めておくといい。こんなかわいいシューズが目に入ってくることもある。



ヴィンテージギターで有名なRudy's Musicへ行き50~60年代の名器を眺める。
飴色に深く色づき表面のひび割れが最高に美しいギターたちの横にレジェンドたちの写真が飾られるミュージアム級の店。




夜のSOHOを歩いていると、昔観たM・スコセッシの映画「AFTER HOURS」が頭に浮かんでくる。古い建物に挟まれた石畳の道を不安定に歩けば「何かが起こりそうだ」とドキドキしてくる。
でも大丈夫。決して映画の様に狂った人が現われたり、ハプニングなんて起こらない。
安心しながら歩いているとDonald Juddのアトリエが現れさらに気持ちを高めてくれる。




学生だった90年代前半頃、年上のスタイリスト達がDean&DeLucaのTシャツ、トート、マグなどを使っていた。
今でこそ、コーヒー、カフェといったものがライフスタイルとしてファッションの一部となったが、その流れは当時から十分にあった。
New Yorkの高級食材店で「コーヒーを飲みたい」と憧れながら、バイトでお金を貯めNYに行く。

日本でもすっかり馴染み、各都市にもあったりするDean&DeLuca。今一度当時の気持ちを胸に店に入ってみる。
時代の流れに合わせてオリジナル商品があり、その他取扱商品も数多い。店内の什器やレジなどは最新式にアップデイトされているが、根本は変わっていない。
グズグズと態度の悪いやつ、話しかけてくるフレンドリーなやつ、仏頂面で仕事熱心なやつなど様々な個性のスタッフが各セクションを守っている。それは置いてある高級食材以上の存在だ。
もしこの店に礼儀の良い物静かな店員が揃っていたら面白くない。
New Yorkの街の乱暴さがこの店の中にも溢れている。
街も含めて物と人のコントラストがかっこいい。




だからこの街では、急速なスピードで新しいものが生まれてくるのかもしれない。
ぶつかり合って摩擦を起こし爆発する。そういう激しい人間が様々な国からここを目指してやってくる。
そのインパクトがあちこちで何かを生み出しているに違いない。
そこに新しい生活と文化を作り出す原点がある。








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