PRODUCT STORY

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA

 

STORY第47回はデザインについて。
ウェアやバッグのデザインはどこからくるのか?
CITERAの場合、世の中に存在しない斬新なデザインのウェアをつくっているわけではないので、スタンダードなものを基にしたデザインというのが根底にある。
何十年も前に作られ川石の様にあっちで削られこっちで磨かれながら、今も形を変えずに残っているものを、今ある技術に則してより良くする。
そこにコンセプトや面白さも混ぜながらというのがCITERAにおけるデザインの始め方である。








CITERAのコンセプトは「快適な移動のため」なので、そのプロダクトは身につけるツールとしてデザインされたものである。
「移動のための服を作りましょう」と言われると、「それならポケットがたくさんついている方がよい」さらに、「ポケットがあるとカバンを持たなくてよい」となる。
しかし、実際に複数のポケットに色々ものを入れて歩いたり電車で座ったりすると落ち着かず、なんだか気持ちが悪くなり、これは赤ちゃんだったら泣く感覚だな~と思うことがよくあった。






なので、ポケットは必要最小限でよく無駄につけない方が結果的に快適だったりする。
実際その方が軽量化できるし、ポケットも膨らまず見栄え的にもすっきり見える。
持ちやすく使い勝手の良いカバンを持てばいいだけの話。
結局今の所手ぶらでの移動は潔く諦めた方がよい。






難しい哲学や、ややこしいコンセプトを掲げデザインする人もいる。
それもよいがCITERAはそうではなく、使う人が気負わずに使えるものをデザインする。
最も優れたデザインとは「無意識のうちに認識できているもの」ではないかと思う。
人の生活を邪魔せず傍にいて必要な時に役に立つ。よく訓練されたドーベルマンみたいに。
そういうものであれば、一生を共にできる。
昔から基本的な形を変えずに今も残っているものがまさにそれなのだろう。







街を歩く時に意識するのは、つい見逃してしまいそうな当たり前の様にそこにありながら、何もしていなさそうなのにしっかり役割を果たしているものや、
役に立てる時を辛抱強く待っているモノ達の存在だ。

ゴミ箱とか消火栓とか変電盤とかボタン式信号機など公共の設備はまさにそれ。
もちろんそれらのデザインをウェアやバッグに変換させようなんて思ってはいない。
ただ、それらが持つ存在感と同じ雰囲気や態度をどう持たせるか。
要するに、使う人が身に着けた時にしっかりと役割を果たせられる素質があるかどうか。






素材やカットなどが機能的であることは、いまの時代標準的になってきている。というかそれが求められている。
現代人の生活にはそれが必要というわけだ。
そうなると、どこも機能優先で身に着けるものとして本当に必要な要素を忘れてしまっている様に思える。
ムキムキのマッチョなボクサー犬ばかりが世に溢れ、いたるところで殺し合っている様にさえ思えてくる。いまの時代本当に必要なのは堅実で冷静なドーベルマンの方だろう。
別にドーベルマンでなくてもいい。柴犬でもワイマラナーでもトイプードルでも。
犬はどれもかわいい。といっても個人的には子供の頃から猫派。






何の話でしたっけね?
そうそう堅実で冷静さを持った犬、いやツール。
結局「堅実で冷静」なツールがあれば生活に役立つということ。
シンプルで使う人の生活において機能的であり、長い時間役に立てればそれでいい。
そいういった想いがCITERAのアイテムの後ろ側にはある。

色々ごにょごにょと書いてみたが、言いたいことはそれだけである。





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