「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるようにこの夏も今週でようやく終わることだろう。とか言っておさまらない可能性もあるのが近年の気象事情。例年の傾向なんてアテにならないそんな時代を生きていることを思うと、予想外の連続の中で生きていることを実感するのだが、できることなら大凡の予測がたつ安定的な世界を生きていたい気持ちにもなる。人が生きる社会の中での乱高下は人が作り出していることだから、予測がつかなくてもそれに対応できる準備というのはある程度できることがあるが、自然となると全く手も足も出ないことが突然襲ってくる。自然災害はどうしようもなく、ふるいに掛けられているとでも思うしかない。生きるか死ぬかは運命に委ね、それに従うのみ。その運命に多少は争うことが出来るのかもしれないが、往生際の悪さが仇になることは大概のパニック映画で分かりきっていることなので、心を静め運を天に任せることが地球に生きるものとしては正しいのかもしれない。
少し前に南海トラフ地震の危険性が高まったと注意喚起があったが、確か中学生の頃からその話はされていた。あれから40年近く経つわけだが、まだ来ない。本当に来るのだろうか?そりゃいつかは来ることだろうけど、もしかしたら自分が生きているうちは来ないのかも、なんて呑気なことを言いたくなるくらい来ない。来ないならそれで有難いし、人の時間感覚と地球の時間感覚は相当に違うだろうから本当に100年来ないかもしれない。46億歳にしたら100年くらい何の誤差にもならないことだろう。そんなことを、このちっぽけな存在は思うのである。
秋冬のシーズンが始まったと言っても体感的な秋冬はまだまだ先で、アパレル界というのは気が早いとよく思うのだが、多分このまま変わらないでしょうけど、そろそろそれも誰かがどうにかした方がよいのではないかと。例外はあるけれど、基本自社サイトのみで行っているCITERAとしては真っ先にそこに突っ込んでいってもよいと個人的には思っていたりするのだが、まあそれはそれで難しいこともあったりなかったり……。
経済活動の中でとなるとある程度の流れの中でということなわけだが、まあこの件だけではないけれどいち早く既存のシステムからシフトさせた者が次の流れを作る者になる、というのは周知の事実。いろんな業界以前にそもそもの資本主義のシステムに行き詰まり感、疑念と言った方が良いかもしれないが、そんな空気感のある時代なのでそろそろ何かがあってもよいのではないか。単純にその方が面白いしカウンターカルチャー的なものが生まれるのもこういった時にこそ、とも思えてならない。
秋冬シーズンになってからの1本目の読み物メルマガなのに、まだ商品に関して一言も触れないというのはこのメルマガのやり口であって、「このブランドは地味だがどこか変だ」と気にさせる作戦の一つなのだ。と誤魔化しついでに適当なことを言ってみたりする。商品ページのアイテム説明を読み、画像をみて、トライアルサービスで手元で確認すれば商品に関しては十分なわけで、ここで追い討ちをかけるようなことを言っても胡散臭いだけで説得力に欠けてしまうこともある。百聞は一見にしかず、とは言ってもトライアルサービスで実物をご覧あれ、では無責任過ぎるのでそろそろ本題に入ることにしよう。
ジャケットTREFFとパンツSCHAFTは新しい商品。アップデートも含めてテクニカルスーツは毎シーズン2型ほど出している。この秋冬はどちらも新型のものとなり、こちらのTREFFはもう一方のベーシックなタイプよりもデザインのあるもの。ジャケットとして考えればラグランスリーブというのは些か疑問に思われてしまいそうだが、着やすさや見た目として考えればテクニカルスーツらしいタイプ。
バリバリのビジネススタイルを求めてこういったものを選ぶ人はいないだろうから、これでいいし、これがいい。もちろんそれでもジャケットとして選ばない人もいるだろう。第3の選択肢といった存在でいいし、そこがこのアイテムの良さなのである。他にないこんなアイテムがいい、と思う人が自らの目で選びそれを着る。世間の評判とか人気でブランド買いをするのも良いけれど、もっと自由に自分だけの楽しみや趣向を追求し、自分のこだわりを求めたい人に着てもらえることが理想である。
このジャケットで一番のアクセントがサイドのラインになるのは一目瞭然なのだけれど、意外とそれが気にならないし、もしそれがなかったら全く面白くない仕上がりだっただろう。スポーツテイストを意識したデザインなのでラインやラグランは必須。それらのディテールが、ラペル付きのものになっても思いのほか馴染むことがよくわかった。しかしこれがAUTOBAHNの様に袖の生地を替えたり、ラインを白にしてよりジャージ感を出したりすれば、この雰囲気はなくなりやり過ぎになって違和感のあるジャケットになってしまっただろう。また、ジャケットのフロントにリベットが付くなんていうことも、ワークスタイルじゃなければまずないだろうけど、それが意匠となってよりリッチな雰囲気にさえ昇華してくれる。
異なる要素を持ち込むのは時に難しくもあるが、初めから着地点を見定め最後まで見続けていれば無傷で安全に着地できる。このジャケットやパンツは何が本質でどうあるべきかが、初めから狙い通りなのだ。普段、過度にならない程度におしゃれを楽しみつつ、身なりにも気を使い快適で心地よいウェアライフを楽しめること、それがこのスーツの本質である。ジャージ上下くらいラフで快適な着心地なのに、スーツスタイルという矛盾も、このアイテムが解消するのである。