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ドイツ語。学生生活にてドイツ語を学んだことはない。身の回りでも大学でドイツ語を選んだ友人もいない。ちなみにドイツ人の友達もいない。知り合いでは一人いるが、もう20年ほど会っていない。とにかくドイツに関しては「ない」だらけであるが、非常に好きな国なのである。

その疎遠となったドイツ人の知り合いとのエピソードがある。パンクと言えば「Seditionaries」。ヴィヴィアン・ウェストウッドとマルコム・マクラレンのあのブランド。彼らが作ったアイテムの中にアナーキーシャツと言われるシャツがある。いくつかあるパターンの中で、小さくではあるが胸あたりに鉤十字が使われた旧ドイツ軍の軍章がプリントされていたものがあった。しかも逆さでね。我々日本人にとってのそれは然程気にならないものであった。そのシャツにおいてはデザイン的な意味でしかなかったわけで、本当の意味を分かってはいなかった。まさかそれが彼が火を吹くほどに激怒させるものになるとは……。彼だけではなく、全てのドイツ人が同じ様に火を吹くほどのものであることは、彼が吹く火を浴びた瞬間に心から理解をした。もちろん彼はこちらの無理解も分かった上で、怒ってはいるが丁寧になぜそれが火を噴かせるのかを長々と説明してくれ、着ている君よりも作った者を処罰すべきだと言って許してはくれた。ドイツ人の真面目さと優しさが表れていたエピソードである。





ドイツ語に戻ろう。
ドイツに行くようになってから最低限必要の単語を覚えたくらいで、今も話せたりまともに聞き取れたりはできない。時間をかけ、日常会話で困らないくらいは話せるようになりたいと思っている。街並み、食べ物、工業製品などどれも魅力的である。特に食べ物は好き嫌いが出そうだが自分には合っている。温かくない加工肉とチーズ、そして硬めのプレッツェルとかみっちりとしたパン。硬いものが多く、硬いもの好きとしては嬉しい限りだ。デザインも硬めの印象を受けるものが多い。かっちりというか硬質な印象のデザイン。常に先進的なイメージである。それ自体がスピード感を持って前に進むように思える。80年代のApple製品もドイツ人であるハルトムット・エスリンガーというデザイナーによって統制され、その後イギリス人であるジョナサン・アイブがその意志を引き継ぎ様々な名品が世に出ている。





そんなわけでドイツはとにかく硬い印象。言葉のサウンドもアタックが強くて硬く聞こえる。そして文字も。英語がCを使うのならドイツ語はKだ。COMPACTがKOMPACT。CよりもKを使うことで硬く見える。自分が勝手にそう思っているだけだが、「CとKどちらが硬い印象?」と聞かれれば、Kの方が角が多いので大抵の人はKと答えるであろう。ただ硬いだけなら面白くないが、硬さを持ちつつ美しさや優しさ、そして真面目さまでも持ち合わせているから愛してやまないのだ。








音楽だってそうだ。CANやTANGERINE DREAMなどを代表としたクラウトロック、KRAFTWERKやNEU!などテクノミュージックの走りも硬く生真面目なビート感の中にどこか人の優しさらしい音を感じ取れる。常に実験的であり、工業都市から発せられたことを感じる硬いサウンドが、金属をハンマーで叩いたあの手が痺れるほどに硬い感触が、耳を通じてダイレクトに脳みそを叩いている様なのである。

関係ないが思ったので言うが、Gを「ゲー」というのもたまらなく好きだ。決して馬鹿にしているわけではないが、どこか面白く感じてしまう。そもそも「ゲー」というサウンドが可笑しみを持っているだけなのだろうけど……。それで言ったら「クソゲー」はサウンド的に最高に面白い造語である。クソにゲーが付くのだ。確かこれは80年代にみうらじゅんによって発せられた言葉だったと思う。





CITERAで作ってきたテクニカルスーツと勝手に呼んでいる類のものは、特にそこを意識してデザインしたわけではないが、こんな話をしながら今思うと古いドイツのミュージシャンたちが揃いで着ていそうだな、と思えなくもない。全くの勝手な想像なのだけれど。そんなわけでKOMPACT JKTとPANTSはウェアなので繊維製でものとしては硬いわけでもないし、デザイン的にも硬い印象を持たせてはいないが、シルエットがこれまでのジャケットよりも縦に短い分ボックス型で、少し硬く見えなくもないこともあり作った側の勝手なイメージで言えばすごくドイツ的でもある。





春夏なのでスポーツウェア感覚で着られるといいと思い、軽く動きやすい素材にスポーツウェア的デザインで仕上げている。こちらは試着サービスであるトライアルにて確認してから買われることをお勧めしますし、サイズも普段よりワンサイズあげて着た方が個人的には良いと思います。いろいろな考えの方がいるのでサイズ感は自由ですが、デザインとサイズ感は比例するので相対的に見ればワンサイズ上げるのが作り手としてのお勧めですが、ジャストで着たい方は普段選ばれているのと同じサイズで良いかと思います。

いずれにしても、オンラインのみで行っているブランドとしては、送料かからずに頼んで戻せるこのトライアルサービスはとても便利でユーザーにとって良いサービスかと思います。










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