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Entries by CITERA


普通、ACときたらDCだろう。交流直流、そっちではなくバンドの方だ。ジャケット、ネクタイ、半ズボンとイギリスの小学生のようないでたちにGIBSON SG。彼のギターサウンドを聴いて痺れた少年は数知れず。しかし、彼と同じ格好をした人を見たことない。高校生の頃、小田急線を使い通学しておりその通学電車では大体の奇抜なスタイルの学生を見たつもりだが、バンドAC/DCのギター、アンガス・ヤングのそのスタイルをした者はやはり見たことはない。下北、新宿へ向かう小田急線はスタイルのるつぼであり学生、サラリーマンはもちろん、トルエンでラリったヤンキー、ロック、パンク、フォーク、ソウル、スケーター、ラスタ、ロリータ。さらにそれらを60's~90'sと年代で分けられるまでのスタイルが存在し、形容しがたく意味のわからないファッションまでと多種多様であった。

強烈だったのは、5cm程の長さの鋲を打ち巡らせたランドセルを背負ったパンク少女。その剣山の様なランドセルを背負い朝の満員電車に乗るというのだから、反抗的なスタイルを通り越し明らかに攻撃的な態度であり、しかも無差別的である。「俺に触ると火傷するぜ」どころではない。それは彼女なりの満員電車対策なのであろうか?彼女の周りだけ空間ができるのは想像に難しくないだろう。当時の通学通勤時間の小田急線は「満員地獄」と言っていいほどの混雑具合。そこに剣山、いやもはやガメラが放り投げられるのだから本当に地獄である。おそらく彼女は服飾系の専門学校生で新宿あたりまで乗っていったに違いない。当時はまだまだ乱暴な時代だったので、途中誰かが彼女を引きづり降ろしたかも知れないし、実際に負傷者も出ていたかも知れない。いずれにしても、あの頃の小田急線は狂った電車であった。ある意味暴走列車である。





実際のACの意味なんてどうでも良く、敢えて言うまでもないだろう。記号の様なものである。ジャケットスタイルのセットアップがあるなら3ピースで揃えるのが筋であろう。もちろんその様に思わせてくれた紳士がいたわけで、個人的な発想ではなかった。あまりどころかほとんどその辺りの知識も着た経験もなく、ベストではなくジレー(gilet)と言うことさえ知らなかったほどだ。正直、ベスト、チョッキ、ジレーの明確な違いがなんであるかもわからない。大まかに言えばどれも袖なしの衣服、ということだけはわかる。作るにあたってここはあまり調べず、自分の記憶にあるものとAUTOBAHN KRAFTにフィットし、それでいて単体で着ることもできるデザインをイメージし形にした。




そういうこともあり、背中にポケットを作りディテール感を持たせてある。まあ持たせる必要はなかったのかもしれないが、これまで着たことのない人でも着れそう、また、着たくなる様な接しやすいものである方が良いと思ったし、何より自分がそうであるので本物のジレーと呼ばれるものよりも、カジュアルというかCITERAっぽい雰囲気であればTシャツの上にでも着てみたいと思ったからだ。もういい歳なので、Tシャツやシャツだけではなく薄着であっても気を使った他所行き感を出すにはこのアイテムが都合が良いのである。Tシャツだけでは「休日のお父さん」に見えかねないので、それを阻止すべくTシャツ+AC VESTなのである。CITERAのセットアップ用のパンツはもちろんだが、デニム、スラックス、ベイカーパンツなどとも合わせられる。




いつまでも子供のようにラフでいたいがどうやら世間はそいつを許してはくれない。でも、よく考えてみるとそれは世間がそう言っているのではなく、自分がそう思い込んでいるだけだ。これまでのスタイルは変えずともキチッとしたいと思っていることを、人のせいにしたいだけだ。要するに歳をとったことを素直に認められず、人のせいにし致しかなく歳相応に振る舞わなければ、と言い訳をしている様なものだ。若く生き生きとエネルギーがあればいいがそれもなくなると、ただだらしなくなる一方でそれを補う様に身なりを整えたくなってきているだけで、今の自分に正直に向き合うべきなのだ。その最も簡単な手段がベスト?、チョッキ?、ジレー?を着ることだ。
中途半端なヤングよりも、小学生くらいまでと40以上が一番似合うのではないか、そう思える。そしてこれを着るだけでなぜだかキチッと見えてくる。西洋の正装文化はすごい。なぜこんなものを作ったのだろう。これまでベストといえば、ダウンベストや中綿ベストといったアウトドアブランドのものか、セディショナリーズのフィッシングベストくらいだがどちらも正装感はないので、普段と同じ気分だったが、こいつを着るとなかなか新鮮だ。新鮮すぎて少し気恥ずかしさまであるがどこか清々しくも誇らしくもある。




この誇らしい気持ちを共有したくなり、こうしてメルマガとして書いている。一度トライアルサービスを利用し試してみて欲しいと思っています。こういったアイテムを着なれた方はなんの抵抗もないだろうが、そうでない方はとりあえず試すだけでもいかがでしょう。これまでの自分と何かが変わってくると思います。新しい自分を見つけてみてはいかがですか?







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