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Entries by CITERA

 

年が明けひと月程経ち日没時間も徐々に長くなりはじめ、日中に過ごしやすい気温の日もあったりで、春ももうすぐかななどのんきなことを思い気をゆるますと、風邪とかインフルエンザなどにかかってしまうので、緊張感を持ちつつ日々健やかに過ごすことを心がけたい次第であります。そんなことを思いながら日々を過ごしていると、気づけばCITERAの新しいシーズンも始まっておりまして、季節の移ろいは早いものだな、と改めて思うわけです。2023年の春夏シーズンとはいえ、まだまだ気温の低い日も続くので早々に切り替え、薄手の春夏物に気を移す気分にもならず、仕事や日々の生活そして世界の出来事など、もっと先に目を向けなければならぬことが山積みです。

まあ、昨今の世の出来事ばかりに目を向けてても心が暗くなるわけでして、ウディ・アレン脚本の映画「何かいいことないか子猫ちゃん/what’s new pussycat?」とばかりに楽しいことで気を紛らわし、うまいこと生き抜くのが現代人の使命なわけです。さて、「何かいいことないか子猫ちゃん」ですが、こちらは1960年代のコメディロマンス映画となりますが、この映画の音楽を担当した音楽界の巨匠バート・バカラックが先日、94歳でこの世を去るというとても悲しい出来事がありました。年末から年が明け今に至るまで、こういったニュースがとても多いので、古い音楽ファンとしては未来は暗いわけです。この先好きな音楽家は皆この世を去ってしまいます。「明るいことなど何も無いではないか?!」。残された僕らにはもう嘆き悲しむことしかない、と思ってしまうのです。
しかし、沢山の残された作品は変わらずに美しく、輝きを失うこともなくどんなに悲しみや苦しみに打ちのめされたとしても、いつでもそれらが癒してくれ、彼らがこの世にいなくとも常に私たちは救われているのです。そう思えば、こんな時代も悪くはないなと思えてもくる。

もちろん過去のもののみが救ってくれるわけではなく、未来もしっかりと存在しているわけで、過去ー現在ー未来という現在が過去と未来を繋ぎ今生きていることでその先の未来を作っている。過去があるということは未来がある、そして現在とは過去を保管しながら未来を製造するもっとも美しい場所、そう考えれば高揚感すら感じ、人が持つ創造性のそのはるか先にある、まだ原子でしかない何物でもないものさえも形として見えくるのではないか? 結局それは宇宙であり、無限に広がる大宇宙の世界のなかでのできごとで、ちっぽけな私の1分1秒などどうでもいいと思えてくる。

この様な前書きを書いていたところふと我に返り、「字数も稼いだし、悩みや不安なんて猫のひたいよりも小さなことだな」と感じられたので話を本題に移していこう。





 

今回のこのメルマガはWEAVERという、もう何シーズンもアップデートや仕様を変えながらリリースし続け、定番的アイテムとなっているスウェットものについてとなります。いわゆる「スウェット」というと、コットンで裏にパイル状やそれを掻いてもふもふの毛の状態にしたものでありますが、昨今ではそれも変わりつつあり、コットンとポリエステルなどを合わせた生地で、パターンや仕様自体に複雑な機能を盛り込み、テクノロジーの進化が激しい世の中に合わせるかの様に、スウェット自体にも進化の波が起こったことで、マーケットでは過去のクラシカルなスウェットからモダンなものに移りつつあります。

それらを称して「テクニカル・スウェット」とカテゴライズしているのかどうかは不明ですが、CITERAにおいてはその様にカテゴライズし、これまでのクラシカルなものと分け存在させています。スウェットはスポーツ時や快適に過ごすためのリラクシングウェアとして親しまれてきました。21世紀になり、スウェットはこれまで以上により快適でより機能的に進化するべき対象である、と世間は判断し、その要望を反映したアイテムを各社それぞれの強みや個性を生かし今のマーケットに投入し、活性化しているわけです。そういった状態にあり我がWEAVERも毎シーズンリリースするほどになっているわけです。



 

では、クラシカルなスウェットが衰退していきているのか、といえばそうではなく、やはりライバルができたことでクラシカルなものも質を向上させたプレミアムなものに進化し、スウェットという概念を超えるほどに贅沢な仕様でラグジュアリーなものが存在したり、メゾンブランドが参入したりなど活気は衰えることはないわけで、スウェットシャツとして初めて登場した1920年代では想像もつかない程の振り幅の大きな日常着となり、クラシカル、テクニカル共に世界的に、スポーツ、ファッション、デイリーなど社会生活の中で活躍し続け、様々な人に寄り添いその存在意義を高めているのです。


 

そういった中で、我々CITERAのこの春夏でのテクニカル・スウェットは、良いところは変えず、季節感に合わせた仕様でアップデイトさせ定番的な存在感を維持させています。高級感を持つ生地感、軽量、ケアのしやすさ、上品さを持つディテール等、ブランドが拘らなければならないところをフーディやパンツというそれぞれのスタイルの中に納めつつ、着やすさを重視しシンプルにしあげています。生地の機能とパターニングによる機能で、インナーやアウター的な存在として考えれば、春夏用のアイテムではありますがオールシーズン使えるものでもあり、今季の特徴的機能としてのベンチレーションも、全て縫い目に合わせた配置により季節感を外すこともなく素知らぬ顔で、必要な機能を全うしてくれる。


 

シンプルで変わり映えのないものともとれますが、しっかりとアップデートしながらのそれは、進化のスピードが早く、流行り廃りの激しい昨今で最も忘れてはいけないことの様に思います。同じ顔でい続けながら日々進歩することが、今ではどれほど苦しく難しいか。しかし、やはり長く生き続けているものの中にはそういったものも多く、表層だけを見ず物事の本質をしっかりと見極め、時代に流されずに己を持ち強くあり続けるべきなのです。時代に即しながらも生地の本質が何であるかを忘れず、よい生地を編み続ける職人「WEAVER」の様に、このアイテムもそうあり続けさせたいのです。


 






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