2023年が始まり2週間を過ぎ、もっともダラつくホリデイ期間もいつの間にか遠い記憶の様である。といっても、本格始動をしてまだ10日前後しか経っていないのに、そんな風に思うのも23SSの立ち上がり準備や商品の最終チェック、そして次の23FWのデザインなどで春夏なのか秋冬なのかと、頭の中がちゃぶ台をひっくり返した様にごった返しているからである。とは言え大体の筋は見えているのであとは伝達するためのアウトプットをするだけなのだが。その作業がどうもうまく進められないでいる。やってしまえば早いのだが、取り掛かるまでの道のりが険しい。特に寒い時期ほどエンジンの掛かりは悪く、古い車の様である。
そこでなんとか気分を盛り上げ重い腰を浮かすため、新しいカバンに古いカバンの中身を移し替えてみる。普通、新しいカバンとか財布、下着とかも?など新年に新調する人が多いと勝手に思っているのだが、自分にはそういう習慣はないので、この時期に替えるのはレアなことである。しかし、そうでもしないと次の秋冬アイテムが形にならなくなってしまうので、なんとかせねばと強制的に進めるための儀式の様なものかも。
おかげで、古いカバンの中に溜まった不要なものの整理もできてありがたい。ついでに、無くしたと思っていた小物や小銭が出てきたりして、カバンの中身は定期的にチェックするものである、と同時に思えたりもする。
前に使っていたカバンは新しいものより半分くらいの収納力ではあるが、余計なものを詰めたりせずに済みそうなので、このくらいの容量も良さそうだ。サイズから計算上の容量は15Lになるが、そもそも15Lがどれくらいのものなのか想像しづらい。2Lのペットボトルが7と1/2本。それって結構あるぞ。実際に水を入れてみたいところだが、そうもいかず、仮に水を入れたとしたら重さは15kgにもなるわけで、そりゃ大した容量でなのである。そんな考え方はやめにして、もっと現実的に考えてみると、デニムと厚手のパーカー、PCでも入れてあとは隙間にペットボトルとか財布、タブレットにその他お菓子とかでフルになるところだろう。荷物を少なくしたい1泊2日や日帰り旅行などにはちょうどよいだろうし、海外へ行く際に機内に持ち込むのにもちょうどいいサイズ感といったところ。まあそういう時のために作ったのでその通りなのだが。しかし、海外にはいつごろから行きやすくなるのだろうか?
コロナ禍後、海外には既に一度行ってはいるのだが、運よくまだ燃油サーチャージも値上がりする前で今よりも半分以下だったし、円安もまだ進んでいなかったわけで、ヨーロッパにも行きにくい、アメリカに行くのも面倒なことがあるし、これまで以上に余計な経費もかかるとなれば、無理に行くこともないかなと。その代わりにこういう時こそ国内の細かな場所にでも行き、小規模な工場や職人に会いに行ってみるのがいいだろう。
そうなればこのBRIEFというバッグの存在が大きくなり、作った甲斐もあるわけだ。敢えて斜めがけするショルダーストラップを付けなかったのは、薄めのバッグを斜めがけなどすると、どこか学生っぽいというか。なんとなく自分の思うこういったカバンの理想のスタイルから離れてしまうので付けませんでした。それが理由です。けれど、付けて使える様にDカンは付けてあるので、必要な方は手持ちのストラップを付けていただければと思います。
付けて欲しくない、とか、付けるな、なんて思いません。自分としては付けたくないだけなので。あった方が楽なのは絶対ですが、それを我慢して手持ちにした方が格好いいかな、と思っているだけですので。使う人の自由ですし、その人が使いたい様に使うことが、一番格好いいわけですからね。それと、手持ちのみだと余計なものを入れないようになりますし。そして外見的に言えば、アルミのでかいアジャスターがどうしたって目に留まるわけで、軽量化のために樹脂製にすればいいのに、と言われそうですがそこは譲れないのです。もし樹脂製にしたのなら、安っぽいメッキ塗装は避けたいから黒を使ったでしょう。かといって樹脂特有の軽い光沢感も嫌なのでラバーコーティングでマットな質感にでもしたくなりますが、それだと時間が経つと劣化してベタついてボロボロになってしまいますからね。そういうのも困ります。そして何より、同色だとブリーフィングとか、ノースフェイスとかその他のこういったタイプのものと似てきてしまうので。それは絶対に嫌だな、と。
興味を持っていない人から見たら、細かいところなど気にならないと思うので、どれも同じかもしれないけれど、バッグやスニーカー、楽器などは細かいデザインが全体に大いに影響しているわけで、数ミリの違いは下手をすればその人が出すイメージにまで悪影響を及ぼす可能性がある。というのは、明らかに言い過ぎもいいところです。そんなことはないですよ、ちょっと悪ふざけしただけです。でも、デザインに興味のある人が見れば「それどこの?」と絶対に聞いてくるだろう。ディテールというのはそういうものなのです。言ってみれば、コミュニケーションツールの一つになるのです。好きなバンドやミュージシャンが同じとわかると、途端に距離が縮まる様なもので、モノを介して人との距離も縮められるのです。マニアックなブランドを共有している人同士がどこかで会えば、お互い「おっ」と思うわけで、そんな時はちょっと勇気を出して話しかけてみるのはどうでしょう?
私は、モノをデザインすることが喜びではありますが、それだけではなくデザインしたモノを通し、人と人の間に何かが生まれることも望んでいます。そしてそれが喜びでもあります。そのモノ自体よりも、それでその人の持つ時間の一瞬、そして生活、大きなことを言えばその人の人生が楽しくなってくれること、それがしたいと思っています。