2022年ももう9月。9月ということはシーズンの立ち上がり。この2年半、流行り病に翻弄されて良くも悪くも世の中は否応なく変化した。戦争、不況、パンデミックなどを境に人々の生活に変化や進化が来ることを、今を生きる全ての人が身を持って体験し、その目撃者となったわけで本来なら歴史の授業で「ふ~ん」とか思いながら知るところだけれど、それぞれの心の年表に刻まれてしまった。コロナ前、コロナ後と線が引かれてしまった。
変わっていないと言えば、CITERAだ。コロナの前からオンラインだけであるし、バリバリのファッションブランドの様にシーズン毎に内容に変化があるわけでもなく、いつのシーズンも大した変わりはない。今の時代そういうものってのは貴重な気がする。売上がよろしくないことを理由にコンセプトとか哲学を変えたりして、商業的なことを第一優先にしたブランディング。よっぽど腕のある人が手がけない限り、それじゃうまくなんて行くわけない。だけど今の時代ってのはそっちの方が正しいとされている。資本主義の行き詰まり手前感のある世の中じゃそうなるのもなんか分かる。感覚的にだけど。
「人の心よりも経済が大事なのさ~」なんて誰か有名なシンガーソングライターが国営放送とか民放キー局の歌番組で、諦めと嘆きを込めて歌っていてもおかしくはなさそうな時代だ。だが、そんな奴はおらんだろう。みんなお金が大好きだからさ~♪(嫌味とかではなくて)。
もちろん僕も好き。お金は大事。お金があればCITERAも買える。なんちゃってね。でもこれほんと。お金があるからお米、家賃、Tシャツ、パンツ、ジャケットなど生活に必要なものが買える。だからCITERAは存在している。
もちろんそれは贅沢品に分類されるものではあるが、それがそれぞれの生活を豊かにするし、やる気にもなる。そしてまた対価としてお金という形でブーメランの様に戻ってくる。それの繰り返し。CITERAじゃなくたって全然いい。あなたが「これ自分の人生に必要!」と思ったもの、それが正解だ。
洋服も春夏、秋冬の繰り返しで新しいアイテムが現れる。そのサイクルには終わりなどなく、新しいシーズンが来れば自然と新作が放り込まれ、刹那的であろうが無かろうがそれでいい。過去も未来も忘れてこのシーズンのその一瞬にフォーカスしてそれを楽しめばいい。買う理由なんていくらでも作れる。それは決して嘘ではないし正しいこと。恋愛と同じ様に洋服と共に今を生きよ。
そんな無計画なことの様に思えたとしても、必ず後につながっているのだ。だから心配無用。迷ったら買う。別に、買え買えオーラを持ってこんなことを言っているわけでもなく、CITERAを買ってね、と思って書いているわけでもなく。だたそう思ったから無責任に書いてるわけで、それでいいと思っている。自分がそうだから正直に話しているだけで、僕はそうであるという告白。物を作る人はあまり告白をしない。その方が格好いいと思っているからだろうか?確かにこういう商売では硬派なイメージの方が良いのかもしれない。でも僕は硬派なタイプではない。すぐバレるから嘘はつきたくはないし、後でバレる方がよっぽど格好悪い。
そうそう、7日から始まる新しいシーズンで撮影した場所は早稲田奉仕園スコットホールという。100年も前に作られた建物であって、地震大国にしてレンガ造りの建物が残っているなんて素晴らしい。威風堂々とした佇まいは、小手先だけでは敵わない。だから魅力的だ。古いからいいというわけではなく、それを守ってきた人たちの気持ちと手を掛けたその努力が素晴らしいのである。このスコットホールは苦労してでも残したい、と思えるほどの建物だったのだろう。新しくてもそう思われる物を創ることが大事である。変わっていくもの、変わらないもの変わらなければいけないもの、変わってはいけないもの、そのどちらも必要なのである。
いつもと変わらないアイテムではあるけれど、変わっているところもある。求められている様に思うし、それを好きだと思うから残し、その時必要と思った手入れをし、新しいシーズンに繰り返し出している。今季のCITERAもそういうスタンスで始まります。7日までもう少々お待ちください。