仕事中にCAPを被れる職種が良いのか悪いのか?なんとなく社会の一般常識で言えば、いや親からしたら制服でもないのに仕事の時にキャップを被っているなんていうのは、「いい加減にまともな定職について欲しい」と思われるに違いない。実際に親からそう思われている友人もいる。立派な家を建てて住んでいるというのにだ。世代的なことだから仕方ないのだろう。じゃあ野球選手はどうなんだ?と聞きたいものだ。テレビや新聞に出る様ならOKなのである。そう、彼ら世代からすればテレビや新聞は盲目的に信用できるメディアなのだ。さまざまな自由な形の職業があって、外見など関係ないということは未だに受け入れにくいことなのである。それは、まだまだ日本が戦後のシステムのままだということを物語っているということだ。
CAPにまつわるそういった話といえば、Dj hondaだ。一昔前に、Dj hondaのキャップといえば商店街を歩くおっさんが被っているものだった。もちろん被っている本人はそれが一体誰で何者なのか、それどころかそれが人であることさえ認識できていないだろうし、そもそもそんなことどうでもいいことである。なんなら本田宗一郎のことと思っているのかもしれない。どちらにしても日本が誇る世界のhondaなのである。
さて、CITERAのキャップの話だ。
毎シーズン出せば売切れてくれる(今のところ)NEU CAP。今シーズンは表革でシュリンクタイプのもの。しばらくヌバックでリリースしていたのでちょっとアレンジ。レザーのキャップといえば、僕ら世代はやっぱりクロムハーツ。これぞ西海岸的ニューアメリカン・スタイルというハードな感じ。でもそれはちょっと違う。当時もそっちはイマイチ好きになれなかった。ウォレットやアクセサリーは格好いいと思ったけど、レザーのものとなるとちょっと違うなと思っていた。もちろんその頃はまだ若過ぎたからかもしれないし、金額的にも遠い存在なので自動的に好きにならなかったのかもしれない。
でも、好き嫌いはいけない。レザーだからといって考えもせずに嫌うのはいけない。自分好みのしっくりくるものを探れば良い。ということでメッシュとシュリンクレザーにしてみたわけだ。前のものよりも高級感がアップ。そして子供っぽさもよりなくなった。さらにヌバックよりも少し硬派な印象。冠婚葬祭ならこっち、という感じだ。もちろん、布だろうがヌバックだろうが表革だろうと、そんなところにキャップを被ってくるなんて、と憤慨されることもあるが、こちらとしてはそういった使い分けができる思いなのだ。これをジェネレーションギャップというのか、社会不適合者というかは分からないけど。
もちろん、実際に冠婚葬祭に被って行くのか?と問われたら多分被らないと思います……。被って行ったとしても、ちゃんととるでしょうね。そこまで自分のスタイルを推し進められるほどハートは強くないタイプです。
実は昔からものぐさで、ヘアスタイルを整えたりヘア剤を使うのが苦手で、何かを被って誤魔化してきた。冬はニット帽、それ以外はキャップやハットで何も被らずに、ぼさっとさせたままのことも多々あった(今でもだけど)。幸いなことにうちの家庭はまともではないので、ボサボサだろうが、仕事着の一つとしてキャップを被っていようが何も言われることがない家庭だった。恐らく、あまり興味を持たれていなかったとも言える。野球関係の仕事でもしているのだろうと思われていたかもしれない。とにかく、している格好について親に何かを言われたことはない。何も着ていなかったら言われたかもしれないが。
話を戻そう。
このキャップとCITERAのスーツ類はよく合う。他のスーツと合うかどうかは知らないし、それは合わせる本人の気持ち次第だ。なので、合うとも合わないとも言えない。そこは個人の判断にお任せするとしましょう。基本カジュアルなウェアを作っているのでスーツ以外のものに合うのは当然だが、毎シーズン人気のWEAVERとも非常によく合う。それも当然なのだが、何を言いたいのかというと、非常にゆとりのあるというか、どこか品のあるスタイルに見える。スウェットとキャップなんていうラフもいいとこのスタイルなのに、都会のど真ん中を歩いても恥ずかしくない程の格好なのである。このNEU CAP LEATHERを被ることで完成されたスタイルになるのである。
細かい箇所のことを言っておきましょう。フロントの隅にブランドネームの刺繍があり、トップのボタンもレザーで包んであります。そして後のアジャスターにはロゴ刻印、ベルトもしっかりとレザーになっていて、先がしまえるのでベルト先が遊ばずに済みます。
という様に、ディテールにも気を使って作ったこともあり、キャップ全体のスタイルからして、このキャップを被れば「いい歳して帽子なんぞ被ったままで」とは言わせない雰囲気を与えてくれるのである。もちろんそれは、本人の気持ち次第なのだけれど……。