PRODUCT STORY

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA®


2022年春夏の最初のストーリーメルマガは「LIAM JKT&PANTS」についてです。

このアイテムを端的に言うと、ワークウェアをモチーフにしたセットアップのジャケットとパンツです。CITERA®のセットアップアイテムで正装を求められる席には出席しないと思いますが、これまでにリリースしているもの達よりももっとカジュアルなジャケットスタイルがあると良いなぁ、と思いまして、そうなるとカバーオールみたいな雰囲気でラペルのあるジャケットが楽しめたらぴったりかなと。




で、なんでLIAMか。アメリカ人で今はデンマークに住んでいるとても格好良い上に頭脳のキレる友人がいます。彼は普段からトリッキーな言葉を使うそうで、同じアメリカ人でもついていくのが大変だそうです。そもそも英語をちゃんと理解できていない僕にとっては、彼の言葉が難しいのかトリッキーなのかなんてことは関係ないため先入観も無くフラットに付き合えたわけです。そんな彼が普段着ていそうなスタイルに仕上がったので、彼の名前を拝借しました。

ですので、これを着れば彼と同様に格好良くクレバーな人になれる、かどうかは分かりませんが、そんな雰囲気はちらつかせられると思います。真面目風にも見えるけど、話もわかり、それでいて見てすぐに洒落ているヤツ、と相手に思わせる雰囲気は出せるはず。「ただの真面目でつまらないヤツではない!」という自己表現ができるものです。仕事頼んだらいい仕事してくれそうな、とでも言いましょうか。相手を安心させられそうな感じですかね。






で、どんなものかと言うと、少しガサゴソいいそうな質感の生地でワーク感を出しつつも、滑らかでしっとり感のある生地を合わせることで、ワークになり過ぎず、都会的なスポーティー感も出て洗練さを持つものにしてあります。しかし洗練され過ぎては嫌味になってしまい相手に安心感を与えられないので、され過ぎていない頃合いの良い感じにしたわけです。




そして思いのほかストレッチも効いているから着やすさもあるし、これまでリリースしてきたジャケットものとは違った方向性なので面白いし、だからといって奇抜なものではないのでバランス的にはちょうど良いと思っています。なんとなくですが、コロナ込みでの社会生活にも慣れ、これまでとは違った生活感を持って生きていくことにも慣れた今だからこそ、「確実に違うけど違くない」生き方を始める今にぴったりな気がしています。

とか言っておきながら、そんなのどうだってよくて、自分の好きな様に生きて、自由に生活するのが一番なわけだから何を着ていようが関係ない。だからCITERA®の服で冠婚葬祭に出席していいわけで、むしろ今だったらそっちの方が良いとさえ思えそうな気がする。これまでの常識なんてもはや常識ではないし、「普通」とか「常識」なんてものはある一定の小さな社会の一部分でしかないわけだから、人の顔色見るのなんてもう終わり。そうなっていかないとこれからは生き残れないですよ。だって、国とか大きな組織が面倒見続けてくれる世の中はとっくに終わっていますからね。


というようなことを、友人LIAMは随分と前から様々な国に住みながら様々な相手と仕事をする姿を僕に見せ、教えてくれていた。その自立し自らの足で立っている様が彼を格好良くスマートに見せていたのではないか、と今思うのです。だからこそ、こういったウェアの形で、その彼の持つ人としての本当の格好良さをたくさんの人にも共有できたら良いなと。

LIAMがどこで何をしてどんな人なのかなんて分からなくたっていいし、はっきり言ってそんなことは関係ない。このジャケットとパンツのセットアップを作る上で確かにLIAMの影響はあるだろうけど、LIAMとこのウェアの直接的な関係は全くないわけで、この話も今回ここだけでしかしない話なので、ウェアとしてどうなのか?が一番大事である。

ただ、このストーリーのメルマガを読んでくれている人にだけはそういった背景があることを伝えておきたかった。


デザイン、ファンクションだけが洋服を作っているわけではない。もちろんそれらだけで作られていてもいいけど、少しでも想いがあった方が奥行きが出るし、それを使う人にも何かを伝えられる気がする。どんなに社会が発展して進歩したとしても、人がいないことにはその社会の意味はない。洋服だって同じで人が主役であるには、人の想いがないと使っていて面白くない。

そう思える洋服を着てきたし、そう思える洋服を作りたいと思う。CITERA®でもそういうものを作らなくてはいけない。そこに人が存在し、他の皆と同じにならず、埋もれてなくならないものを。


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