VネックのTシャツを手にとることって実はなかったかもしれない。そもそもTシャツの首をVにする必要ってなんでしょうね?なんか無理やり丸首以外でバリエーションを出した結果なのかな?なんて考たりするけど、一体いつどんな理由があって登場したのかは聞いたことないので一旦考えるのはやめておきましょう。
さて、ARCHITECT Tシャツをリースしてから毎シーズン定期的に出してまして、今季も引き続き長袖を出しますけど、だたそれだけをリリースしててもブランドとして面白くないので、「専門家Tシャツ」としてシリーズ化してみるのはどうかな、と。そんで始まりは建築家だったので、お次は医療家Tシャツというわけです。医療に家つけて「医療家」なんて言いませんが、医療家のスタイルとなるとやはりVネックだろう、と。Vネックといってもなんでもいいわけじゃありませんよ。
あまり首のVが深いとチャラついて見えるし、空き具合によっちゃあおっさんっぽく見えちゃうこともあるのでVネックは非常に気をつけないといけない。ということでVの角度と深さを何度も慎重に設定していき、やっとCITERAらしい浅めでクールなVネックの角度と深さに辿り着きました。これだとなんとなく医療系っぽくも見えるし、丸首よりもどこか硬く見えてよそ行きっぽくも見えるからなんとも不思議。流石にネイビーだと本物過ぎちゃうかもと思ったので、色は黒と白に留めておきました。
それでさらにですが、大きめのサイズを選べばアメフトとかBMXのユニフォーム的な雰囲気を出せなくもない。まあこれはこじつけっぽく聞こえるかもしれませんが、実際作る際にアメフトやBMXのを参考にしてサンプルはもっと首のフライス(リブみたいなとこね)の巾を太くしてたのだけど、それだとちょっと野暮ったい上にスポーツっぽく見えたので、細めの巾でスッキリと見える様に修正し、今の雰囲気になったわけです。それもあってこの詰まった首の雰囲気はアメフトやBMX感にも通じているわけです。
今これを書きながら思ったのですが、Vネックってシャツの下に着た時、Tシャツの首が見えないようにしたってことなのかな?でもそれだと下着ってことだよね。だからそのくらいのカットの深いVだと下着感が出ちゃうとも言えるよね。「Vネック=下着っぽい」ということを感じで着てこなかったのかもしれない。
あと胸元出してセクシーさを演出するってのもあるのかもね。Vネックは奥深いですな。複雑な男の気持ちってやつが詰まってるとも言えるね。でも残念ながらCITERAのVネックはそっちじゃなくて、21世紀の都会を生きる洗練された男のためのVネック。そんなVネックだとしてもVネックに手を出すこと自体が冒険になると思うので、なかなかチャレンジングなアイテムでもある。
でもね、こうしてスタイリングの画像を見るとなかなかいい。違和感もなくすっきりと着れてるよね。普通っぽくもあるけどちょっと違う、だけどやり過ぎじゃ無い。とてもCITERAらしいね。CITERAらしいってよく言うんだけど、普通っぽく見えるのに実は普通じゃない、普通じゃないものなのに普通に見える。それがCITERAっぽいってやつだ。実はそういうものって世の中見てもなかなか無いんですよね。大体わかりやすくないとだめですからね。でもそんなわかりやすいものって格好悪い。「ステーキの焼き方は?」という問い掛けに「醤油でニンニクびたびたね」と答えちゃう様なものw。そこは「シェフのおすすめの焼き方で」と、肉の繊細な味のディテールを引き出してくれることを願う姿勢が格好いい。なんだかよくわかりませんね、すみません。
とにかくこれからの世界はそういったわかりやすいものではなく、しっかりと物事の本質を捉えたデザインがもっとメインになってくると思う。今は過渡期なので、そういう静かに本質を捉えた緻密なデザインは、敢えて派手さの中に隠しているものが多い。潜在的に「細かい部分は大事」という刷り込みをするために、わかりやすいデザインを全面に出しつつもしっかりとディテールは持たせてある。この先徐々にその分かりやすい部分は削られてくるはずだ。わかりやすいところで言うと、日本車のデザインの中にも良いものが少しずつ出てきたのは、そういうディテール感をしっかり盛り込みながら、ノイズになる邪魔な部分を極力削ろうとしているのが見えてるからだと思う。でもね、ディテールも盛り込まず単純にシンプルにしている「手抜きデザイン」のものも多いのでしっかりと自分の感性を持って見極めて欲しい。
「足し算思考の旧来型」は21世紀が20年過ぎてもまだまだ多いので、野暮ったくて派手に見えるものが世の中に蔓延する時代はもうしばらく続くでしょうね。でも、このメルマガを読んでいる人たちは新感覚派として、これからの世の中でしっかりと生き抜いていける人たちである、と僕が勝手に保証しましょう。それはCITERAに辿り着けている先見性を持っているからです。
「神はディテールに宿る」と言いますが、それは何の神なのか、また本当にそこに神がいるかは分からないけど、確実にそこにあるものは作った人の魂であって、魂があるものはどこか力を放っているし、そこにちゃんと気付いて共鳴できているのがあなたなのです。
細部に魂が宿っているアイテムを作れる様日々意識し、こんなコロナ禍であっても変わらず生きていきたいと思っております。その意思表示こそ、自分にとってはCITERAを着ることであるのではないかと思っています。
CITERAも21年の秋冬シーズンに突入しまして、アイテムもまだ序の口ですが引き続きブランドもメルマガもどうぞよろしくお願い致します。