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Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA

 

夏は暑いもの! と自分に言い聞かせ「暑い暑い」と愚痴の様に言わないようにしている。クーラーが効いた室内や冷たい飲み物やアイスクリームなどをより楽しむためのオプションかの様に、わざわざ炎天下の中を普段より多めに歩いたりして、この暑さを人生を楽しむための一つの武器として日々生きていたいが、そんな余裕がないくらいに暑い! 人間ができていないので、そんなことを思ったところで暇さえあれば口をついて出る言葉は「暑いなぁ」である。クーラーの効いた部屋にいて暑くないのに、ついうっかり「この暑さには参ったな」とか口を滑らせてしまう。

どんなに時代や生活家電が進化しても、頭の中で「暑い」という言葉から連想できるイメージといえば、ちゃぶ台に肘をつきうちわを扇ぎ、氷を入れたタライに足を突っ込み高校野球をブラウン管のテレビで観ている。というバリバリの昭和生まれでしか想い描けないイメージである。




 

さて、SOCIAL SHIRT。見て分かる通りモチーフはキューバシャツなワケですが、てろんとした涼しげな素材のストレートな形のパンツに、サンダルやゾウリでリゾート的スタイルが合うし、反対にリゾート感を出さないとなると、プレスを効かせたスラックスに光沢ツヤツヤのクロコダイル革の革靴で、ティアドロップのサングラスという、どこかレトロなスタイルが格好いい。そんな感じの本物スタイルには憧れるけど(Netflixナルコス メキシコ編主演のディエゴ・ルナみたいな)、こちとら和人面なものでどう逆立ちしても本物にはなれない。だからキューバスタイルは諦めて、普通のシャツをちょっとだけ匂わせとく程度が和人面のオレらにはマッチするもんだ。




 

しかしディエゴ・ルナはかっこいい。観ました?ナルコス メキシコ編。優しそうな目をしながらも細身の身体がシャープでキレる雰囲気を作り出し、南米の強い日差しにも負けないオーラを画面越しにも感じる。憧れすぎて「よしオレも大麻栽培から始めて麻薬ビジネスでのし上がるぞ!」なんてアホみたいなことを言い出す始末。どうやらメキシコ編のシーズン3がある様ですが、残念ながらディエゴ・ルナの続投はないそうで……。でも実際にそういう世界があるってのが凄いですね。そんなのが日常だなんて考えられないけど、だから観ていて面白いし、そういう麻薬ビジネスをベースにした映画やドラマが山の様にあるわけだ。

僕が生きる世界とはかけ離れすぎて、想像の中だけの話だけど、大体みんなストーリーは同じ。繁栄して落ちぶれて、という悲しい結末。ジョニー・デップのBLOWも面白いけど最後がほんと悲しい。大体上り詰めたあたりで観るのをやめるのが一番いい。とか言ってどれもちゃんと最後まで観ちゃいますけどね。


 

人間真面目に普通に生きるのが一番幸せですね。普通というものが一体なんなのかはわからないけれど、壮絶な人生ってのは聞いてる分にはいいけど、それを自分が体験するってなるとなかなかタフなことですから。でも壮絶な人生を送る人は僕みたいな毎日では退屈すぎて死んでしまうでしょうね。
まあ人間退屈くらいでは死なないでしょうけど。

そうだ、これはシャツ用のメルマガだった。ついどうでもいい話ばかりをしてしまう。どうでもいいついでにもう一つ話をすると、人それぞれに普通ってのはある。だから普通というものは誰にでも共通した「普通」ではない。その人にとって普通というだけ。なので、僕にとっての普通は、あなたにとっての普通ではない。うちは夫婦二人の家族。これがうちの普通。毎日同じ時間に寝るわけでもなく、起きるわけでもない。ルーティンで何かしていることもない。パンツをはくとか、歯を磨くとか、トイレに入る、お風呂に入るということは共通するけど、生活の仕方はお隣さんとはかなり異なる。朝になってから寝ることもよくある。でもそれがうちの普通。


 

子供の頃から人と同じでいることに苦痛を感じていた。だから集団行動が本当につらかった。自我が強すぎなのか、特殊な家庭環境だったからなのか理由はわからない。だから会社員になることが想像つかなった。学校をやっとでたのにまた集団に? 大人になることは独立した立場で生きていけること、と考えていた。もちろん同じ趣味を持った友達と過ごすのは大好きだったので、全く他者と関われないというわけではなかった。

最近「多様性」という言葉をよく聞くが、こんなにも人がいるのだから初めから多様性じゃないのか? だからわざわざ「多様性」なんて言う必要もないだろうに。そんなことを言っているうちは多様性のことなんて本気で考えていない証だ。「言っておけばいい」の表れである。言っている本人が一番その意味を分かっていないのだ。とりあえず列に並んで「私分かってますから」と自分を守りたいだけなのだろう。

そもそも地球自体が多様性の塊で、争いごとも含めた上でそれは成り立っている。その反面、ある人ができないことは、別のある人ができる。その連鎖でうまくいくことが続き、地球は回っている。それで互いが感謝しあって、それぞれに幸せを感じて生きているのだ。シンプルにそれでいい。でもそうはいかないのが現代社会ってやつなのだろう。現代社会は複雑に入り組み、その中で人々は喜び、悲しみ、悔しさや憎しみに追いかけられながら苦悩して生きる。それが現実なのかもしれない。


 

SOCIAL SHIRTというアイテム名には、そんな辛い現代社会の歪みの様なものは少しも意図していない。人々は自由にそれぞれの生き方で生き、建物内に入って「わ、涼しい!」と嬉しくなるあの小さなことにさえ幸せを感じられる。その複雑かつ単純な感情の集合体である「幸せな社会」を人は理想としているからであり、CITERAが目指したいのはそれぞれの小さな喜びの積み重ねの傍に寄り添うことなのではないか。そんな風に思う2021年の夏なのである。

今日のメルマガは話が寄り道だらけだ。「これも多様性ですぅ」なんて言ってしまえばそれで辻褄が合いそうだが、全くそんなことないな……。




 

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