DIRECTOR’S JOURNAL

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA®

LFOM Vol.19

last friday of month 2020.12.25

今回のLFOMは色々と考えることの多かった年ということで、現時点で思ったことのまとめとしてエッセイをお届けします。




ということで始めますが、なんと今年最後のLFOMの配信はクリスマス当日。ということで、お決まりのHAPPY CHRISTMAS! これを読んでいただいている皆さんはどんなクリスマスを過ごしている、または過ごしたのだろうか?なんて考えながらこれを書いています。まあ今年はね、びっくりな年となってしまったわけですがクリスマスは変わらずにやって来るので、自分の普段の生活の範囲内で楽しむ程度ってところですかね。僕はローストビーフをこれから焼いて静かに過ごそうと思っています。正直言うと、「ヨークシャープディング」を焼いてみたかったので、それのためにローストビーフを焼くことにしたわけです。ヨークシャープディングはイギリスで生活したことある人以外は、馴染みのないものだと思います。見た目はシュークリームの皮みたいなもので、ローストビーフに添える副菜の一つ。卵と牛乳と小麦粉と塩だけなのでとても質素な味だからグレイビーソースをかけます。何がいいって、不恰好に膨らんだ何とも表現しがたいその形。マフィンの型に油を少しためてオーブンで熱してから生地を流し込みあとは焼くだけ。とても簡単だけど膨らむ様を見ているのがとても楽しかった。なので、僕のクリスマスはヨーキー(そう呼ぶらしい)を焼き終わった時点で終わり。もう十分楽しんだ。

あとは静かに年末年始を過ごすだけ。観光地で育ったので、休みの時に出掛けるなんて考えたことなかった。近所を大勢の人が歩いたり、目の前の道路が渋滞してたり、電車が満員だったりするから家でじっとしているのが一番と思っていた。休みの時は音楽聴いて楽器弾いていればあっという間に1日が過ぎ、それで充実感を得られていたから結構幸せなタイプだ。そんなだから今年みたいな年はお手の物。人に会わなくたって問題ない。基本的に普段からそんなに人と会わない人生だったし。でもやっぱり「全くの一人」ということではなく、恋人や家族と音楽があったから生活に抑揚がなくても平気でいられたのだと思う。極力シンプルでいたいと思うのは、必要最低限の中で、今あるものや一緒にいる人と最大限楽しみを作ってきたその結果だ。CITERA®ってのはそういう僕のマインドが作っているわけです。もちろん、それは自由にやらせてくれる運営会社の懐の広さのお陰でもある。「オールフリー!」って訳ではないけど、そういうマインドが、「面白かったり格好良かったり便利だったりするものを創り出す」ということを理解している証しである。そしてそこに共感してくれているCITERA®ユーザーの皆さんにも同様に感謝をしています。

ものを作る過程にはたくさんのことがあります。思うようにいくこと、いかないこと、嬉しいこと、悔しいこと。もちろんそんなのは、ものを作らなくたって生きているだけで襲ってきます。皆さんも日々襲いかかって来る何者かと戦っていると思います。なので、それぞれ立場は違っても同じ思いを共有しているようなものです。だから「今、この憎らしい敵に襲われているのは僕だけではない」そう思うと、なんとかそれを乗り切ることができるのです。その敵に勝ったわけでもなく、もしかしたら逃げているだけかもしれないけれど、敵に打ちのめされることは回避できています。それは自分の中にある信念を見失わない様なことです。見失ってしまったら、多分その敵に打ちのめされてしまうだろう。とにかくそこから逃れさえすればどうにでもなるわけなので。勝つ必要なんて無いと思っています。僕の考えはですよ。

「コロナに勝つ!」とか「コロナに負けない!」みたいなことを行政の人は言ったりするけど、そもそも負けてないですか?って思うわけです。嫌いですけど「withコロナ」って表現はまあ適っているのかなと少し思える。もう一回言いますが、その表現は嫌い!非常に安っぽい。

コロナに翻弄された年なので、どうしたって話の中にコロナが出て来る。それは避けられないし遠ざけても無理があるから、思ったままに話題に出してます。そんな状況でさえも楽しんでいる自分がいます。多分、快楽主義だからかなんでも勝手に楽しめる様に思考が自動で変換されているのだと自己分析しています。

CITERA®は特殊なブランドだと思います。プライベートなブランドではないのにものすごくプライベート。ディレクションしている本人の心のうちをこうやってエッセイみたいな形で公にしてるわけですから。こんなブランド聞いたことない。「それがこのブランドの個性」と簡単に片付けられるものでもない。CITERA®の向かう先は誰にもわからない。僕にだってわからない。作る側と使う側が同じ様に楽しめるという形が一番だと思うので、こうしてコンテンツやメルマガ、商品説明で一般的なブランドとはかけ離れた無茶苦茶なことをしているわけです。友達に相談する様な感じというか、悩みを打ち明ける様なそんな感じで。ブランドをやって思ったことは、ユーザーさんにはこちらのいろいろな思いや迷いを聞いてほしいし、逆に皆さんのいろんな思いも知りたい、ということ。どんな形かわからないけれど、皆さんと気軽にコミュニケーションを取れるネットブランドが理想だ。

今年はコロナのせいで世の中本当に色々あった。皆さんの中にも影響を受けた方や、生活が変わった方もいるでしょう。それでもこれを読んでいてくれることは非常にありがたいです。CITERA®を通して間接的に皆さんと交流できていることに幸せを感じます。本当にありがとうございます。いつか直接コミュニケーションできる日を作れる様に、これからも日々精進します。2020年も本当にありがとうございました。そして2021年も引き続きよろしくお願いしますね。CITERA®にとっては新たな挑戦の年になります。そして21年春夏コレクションは2月初旬から始まりますので、楽しみにしていてください。皆さんあってのCITERA®です。








今回は完全なエッセイとしてお届けしたLFOMでしたが、最近手に入れた音楽だけは紹介します。どちらももう廃盤になってるものですが、まだ安く買えるものです。。











BJ COLEという人の「TRANSPARENT MUSIC」。ペダルスティールギターの名手。ドビュッシーの月の光とかエリックサティなどのカヴァーもありとてもリラックスできる、ヒーリングミュージックです。






こちらは日向敏文の「いたずら天使」というアルバム。中学生の頃家にありよく聞いたもので、最近思い出して買った中古盤です。ドラマ「東京ラブストーリー」などのヒットドラマのサントラをよくやっていた人。これはどこかヨーロッパ風な悲しくも美しい親しみのあるサウンド。感傷的な雰囲気で心を「グッ」と掴んでくる感じでいいです。

それでは皆さん、静かな良い年末年始をお過ごしくださいね。ではまた。