PRODUCT STORY

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA

CITERAの2017SSアイテム、NEOCITY-65 JACKETがPOLARTEC社のPOLARTEC 2017 APEX Awardsを受賞。
POLARTECの生地を使用した世界中の革新的で、デザイン性の高いブランドを毎年評価しているというこのアワード。
今年は約50ブランドのエントリーに対し6ブランドが受賞し、CITERAはPOLARTEC社のNEOSHELL®を使用した上記アイテムがそのうちの1つとして選ばれた。
それに伴い、トロフィー授与のためフランスから来日したPOLARTECセールスアンドマーケティングディレクターEric Yung氏に、CITERAディレクター永による特別インタビューを行い、なぜ多くの応募作品の中からCITERAのプロダクトが選ばれたのか?
そして素材メーカーとしてのこれからの社会との繋がりについて語ってもらった。


永 : この度は、栄誉ある賞をいただきありがとうございます。
今回CITERAのNEOCITY-65 JACKETが受賞できた一番の理由を教えてください。
Yung : NEOSHELL®は元々山でのアクティビティを目的とした機能的な生地ですが、CITERAはこれを全く異なるフィールドで使用した点が評価されました。
アウトドアシーンでの使用など、NEOSHELL®の開発者が思い描いていた本来の目的とは全く別の捉え方をしている点が大変興味深いです。
他ブランドが本来の目的通りアウトドアアクティビティウェアの素材として使用する中、CITERAはNEOSHELL®という素材に、シティーユース(街着)における機能性や快適性を求めていて、素材をより広い視野で捉えてくれています。
様々な要素が詰め込まれたとても美しいプロダクトだと思います。

永 : これまでNEOSHELL®を使った3タイプのジャケットを作りました。
どれもクラシックスタイルでシンプルですが、NEOSHELL®の機能と質感によってモダンなものに仕上がりました。
アウトドアやスポーツウェアの分野ではテクニカルで未来的なものの方が多いと思いますが、現在アウトドアのマーケットではデザイン的にその傾向に変化が起きているのですか?
Yung : 興味深い質問ですね。
個人的な見解ですが、アウトドアには両極端の傾向があると私は思います。
テクニカルで未来的なデザインのものと、ヴィンテージでクラシカルなスタイルのもの。
この2つが交わることは決してありませんが、アウトドアのフィールドにおいてはこの2つの傾向が共存することが可能です。
また最近ではデザイン性より、リサイクル素材やオーガニックの繊維を使うなどのサステナビリティ(持続性)を重要視するブランドも増えてきています。
このようなブランドはテクニカルで未来的なデザインを作る傾向が少ないですが、そのようなブランドが生み出すデザインもまたアウトドアフィールドにおいては共存可能であると私は考えます。

永 : 素材メーカーとして、それぞれのブランドのプロダクトに対して求めるものはなんでしょう?
Yung : 今日私が一番皆さんに伝えたいことですね。
テクニカルで先進的な素材を発信する会社として、私たちは「プロダクトに価値を置くブランド」としかパートナーシップは結べないと考えています。
最近はプロダクトではなく、価格を主軸として商売をする会社が増えています。
このような思考で商品を作ってしまうと、どのブランドもコストをおさえるために同じ素材を使い、マーケットが似たようなものであふれてしまいます。
私たちが力を貸したいと願うブランドは、プロダクトに価値を置き、消費者に新たなシーンでの使用法や解決策などを提案し、選択肢を与えてくれるブランドです。
そういうブランドとなら私たちはいい関係性を築くことができるでしょう。

永 : これまで最も影響もしくは感銘を受けたブランドは?またその理由を教えてください。
Yung : 今まで多くのブランドを目にしてきましたが、その中でも特にHOUDINIというスウェーデンの小さなアウトドアブランドには感銘を受けました。
子供服に対しても抜かりなく、高機能、ハイクオリティな商品を作っています。
また着心地が大変よいです。
職業柄生地に注目してしまいがちなのですが、メリノウールとシルクを混ぜたものなど、使う生地のチョイスがとにかく素晴らしい。
またこのブランドが興味深いのはスポーツとライフスタイルの境界線に立っているということでしょうね。

永 : 「エネルギー問題、素材のバックグラウンドなど自然や生き物にとって負担の少ないものを選ぶ」という社会に変わってきました。
そういった社会の中で、今後POLARTECが果たす役割とは?
Yung : POLARTECは歴史的にもリサイクルポリエステル開発の先駆者として活躍し、1993年にはマーケット初のリサイクルフリースを売り出しました。
特段声を大にして言っているわけではないですが、我が社で使用している50%以上の毛糸はリサイクルされたペットボトルから作られています。
環境問題に取り組むほかの会社に比べても割合はとても高いです。
どの観点から環境問題を見るかにもよりますが、ポリエステルは油からできているので環境に悪いように思える反面、コットンを作る際に比べると水の消費量は1/10~1/15に抑えることができます。
わが社で取り扱う商品の多くはポリエステルですが、そのほとんどはリサイクルされたもので作られています。
私たちは現在、ダウンのインシュレーション(断熱材)の代わりとなるものをポリエステルで開発しようとしています。
ダウンフェザー(羽毛)やリアルレザー(皮革製品)などの問題が取りざたされる中、代理となる素材の開発はとても重要となってきています。

永 : 環境問題の先にある人々の生活とPOLATEC®製品との関わりは、どの様な関係性になっていて欲しいですか?
Yung : 私たちはアップルやトヨタなどの大企業のように消費者に直接訴えかけられるほど大きなマーケティングブランドではありません。
代わりに、消費者に対する影響力があるあなた方のようなパートナーブランドにそういう存在になっていって欲しいと願っています。
私たちが消費者とどこまで関係性を深められるかは、プロダクトを作り消費者に提供しているあなた方に掛かっています。
これからもPOLARTECのストーリーを是非より多くの消費者に届けてください。

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