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Entries by CITERA


ご存知ない方もいらっしゃるかもしれないのでこういったこともこちらのメルマガで触れておこうと思います。唯一の外部取扱店があり、それがBARNEYS NEW YORKなのです。東京(銀座、六本木)、横浜、神戸、福岡の各店舗にて取り扱いがありまして、そちらでは毎シーズンインラインとは別仕様の「限定モデル」なるものが販売されておるわけです。全くの別モデルというものではないのですが、すでにあるモデルの中から生地や色、ディテールなどを変更したモデル、といったところである。コロナあたりの年からのお付き合いとなるわけで、限定モデルは21年からだったかと。そんなわけでそこそこ長いことお世話になっているのです。

BARNEYS NEW YORK、現在は残念ながら日本でのみの存在となり本国からはすでに消えてしまっているわけで、これも時代の流れとしては仕方ないことだろう。もう21世紀なのでそれはそれで当然なのかもしれない。BARNEYS NEW YORKといえば、アンディ・ウォーホルがディスプレイをやったこともあったりして、本人自らのディレクションで自身がディスプレイ内にマネキンがわりに立っていたりもしたようだ。カタログのために描き下ろしたアイテムのイラストなどもあったようだ。それらに関しては、80年代にイギリスでアンディ・ウォーホルのファッションに関連したもののみの内容で展覧会が行われた際に出された図録で詳しく紹介されている。2000年代初めの頃にロンドンに行った際、現在BUNNEYというシルバーアクセサリーブランドをやっている友人から勧められて買ったものだ。あまり興味はなかったのだけど「デッドストックで出てきたものだし内容も珍しいから買っておいた方がいいよ」ということで買ったものだが、ここでようやくその伏線回収ができたというわけだ。

で余談を。
そのBUNNEYというシルバーアクセサリーブランドの彼とは、90年代の同じ時期にロンドンの同じ場所でお互いよく遊んでいたわけで、不思議な縁を感じたものだ。その当時の存在をお互い認識できてはいなかったが、その場において日本人に話しかけてくる者は皆無であったのに一人だけ時折声をかけてくる者がいたそいつが彼だったのかもしれない。日本のファッションとか文化に興味を持っていた様で、色々と聞きたそうだったがその頃は言葉もよく分からず、面倒臭がり冷たくあしらってしまったことで、結局それが彼だったかどうかは不明なままだ。ただ、なんとなく風貌が彼っぽい雰囲気があった様な記憶があるので、そう思うのだが実のところはどうだったのだろう。






さてBARNEYS NEW YORK。20世紀には常に時代の最先端を走っていたことだが、アップタウンの高級ファッション百貨店としてヤッピーたちが多く出入りしていたことだろう。そんな嫌味な言い方をしたのは決して悪口ではなく親しみを持ってのことだが、今時「ヤッピー」という言葉を聞くことはないが、改めて調べてみてその正確な名称を知った。「young urban professionals」、都会の若いエリートサラリーマンのことで、映画「アメリカンサイコ」に出てくる様な奴らだ。名刺の素材や書体で互いをマウントし合うあのシーンは名シーンであり、細部にまでこだわるその姿勢が滑稽ではあるが、その当時のヤッピーたちのアティテュードを存分に語っており、嫌味な奴らではあるが若くして都会で成功を掴むために必要な要素が何であるかを体現しているのである。






さてBARNEYS NEW YORK。と始めたくせに全く触れていないのはご愛嬌。このメルマガでのよくある手口。しかし久しくこの手口も使っていなかった気がする。正直いえば、これは手口でもなんでもなく、意識が散漫なために一つのことに集中できず、そこら辺にあるものを片っ端から掴んでは投げ、掴んでは投げを繰り返してしまう筆者の傾向がそうさせているだけでなんの策略もなく、読み手にとっては赤信号で突っ込んできた信号無視の車が起こした貰い事故の様なものであろう。このメルマガを読む際はそんな事故に遭う確率が高く、その事故を防ぐには読まないことが一番なのだ、回避するにはそれしかない。






さてBARNEYS NEW YORK。と3度も書けばそろそろ本当に触れないわけにもいかないのだが、ここは書き手が勝つか読み手が勝つかの瀬戸際だ。流石に私も商業的側面も持って社会生活をおくる者なのできっちりと仕事をこなすことにしよう。BARNEYS NEW YORKではWEAVERやコットンのカットソーがとにかくよく動くとのことで、今もリピートで取り扱われている。スウェット類となると、デザイナーズブランドのデザイン強めのものが多いことがその状況を作ってくれているのだろう。ベーシックでシンプルだけど、機能やディテールを抑えているものが、味濃いめの中での箸休めとして機能しているのがそのカラクリということだ。いずれにしても、よく売れてくれていることは非常にありがたく嬉しいことであり、来季も引き続きオーダーいただけることもわかったのでこれからも良い関係を続けられるように尽力していきたいところである。






スウェット系だけではなくテクニカルスーツも程々ではあるが動きがあるようで、AUTOBAHNはもちろんだが今季はLUFTをそのラインナップに加えていただいている。AUTOBAHNほどの主張はないが、よりスポーツ要素があるので出世意欲の強い今時の若い人にも着てほしいものだ。BARNEYS NEW YORKでのアイテムはネームが全てネガポジ反転と言いたくなる様な黒ベース白文字仕様であり、全てが一歩後ろに下がった控えめな表情のアイテムたちであることも伝えておきたいところ。






CITERAはオンラインのみということで、実物を見に行くことが必要ない方、言い換えれば手元に取り寄せてから購入を決められるもので、実店舗に行くという手間を省いて買えるという良さがある。なので、そういったことに重きを置かれる方にはBARNEYS NEW YORKで実物を見てサイズ感なども確認し、インラインをオンラインで買う、という面倒なことはしないと思われるが、そうでない実物重視の方にとっては非常に重要なタッチポイントになるわけである。我々にとっては、手軽なオンラインと、洋服販売のあるべき姿の実店舗、そのどちらも同じくらい重視しなければならない。それはファッションビジネスでは当然必要なことであり、どっちがどうのではなくこれから先にどれだけ世の中が進化しても実店舗の大切さというのは変わらないのだろう。インフラが進化しても、そのソフトである洋服、それを身につける人間の物体としての根本は何も変わらないからだ。

非常に地味で牛歩のような進み方ではあるが、できる限り人と街に寄り添ったブランドであることを続けていきたいものだ。そういったことがますますやりにくくなる世の中になっていることは、嬉しいことなのか悲しいことなのかは今はまだ誰にも分からないところだ。





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