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2025SSコレクションは2月6日(木)から始まります。アイテムはチョロチョロと小出しにしつつゆっくりとではありますが。と言っても、そもそもアイテム数の少ないtiny little minorなブランドですが、この春夏もよろしくお願いします。いつにも増してシンプルでスタンダードなものを少し斜めから見た様な、と言うのがちょうど良いのではないでしょうか。そもそも、次の秋冬でブランドが始まって10年も経とうとしていまして、時が経つのは早いと思わざるをえません。一つ一つ思い返してみえれば、しっかり10年という時を刻んでいるのですが、時が経ち振り返るとその時間というのは実に早く感じてしまうものなわけです。小学生の頃の時間感覚が恋しいですが、結局その時は学校生活というとても小さな社会において、今よりも退屈でストレスの多い日々であったため、早くても今の方が断然良いと思えます。何気ない退屈しのぎの会話の中で、「やり直すならいつがいいか?」なんて質問がされたりしますが、その答えは「特にやり直す必要はない」ととても面白くない返答を相手に投げてその場をしらけさせてきました。

また、歳を重ねると時間の感覚が早いと感じるのは、「歳をとることで分母が増えるから」と聞き妙に納得したものです。1/10と1/50とではその1年の長さは遥かに違うわけです。こうして物理的に近いことで言い表されると「なるほど」と思うのは誰しも同じだと思います。これを書いている間にも、次の25FWのシーズンは駆け足でこちらに迫って来ているわけで、のんびりと2025SSの話をしている場合ではない!と焦ってしまうのです。

 





そんなことを言っておきながらも、実は前回9月の24FWのCOMING SOONのメールを書いていたことを思い返しても全く思い出せないことは、実時間の通りに決してあっという間ではない、ということを証明している様にも思えたりします。それとも自分の脳ストレージの容量が64MBくらいなだけかもしれません。ギガでなくメガ……。2000年くらいに使っていた記録媒体である「MO」の64MBや128MBのディスクを懐かしく思うのです。

時が経つことでよく思うことがあります。今から25年前はちょうど2000年。そう、2000メガネをかけて浮かれ騒いだあの頃です。もちろんそんなメガネをかけた覚えはありませんが、ニュース映像ではかけてる人を結構見た気がします。その頃の世の中のファッションと今のファッションに、ディテールや雰囲気の違いはあっても、大きな変化というほどのものはない様に感じます。しかし、2000年からの25年前の1975年の世の中というのは全く違う世の中だったと思うのです。

 





進歩や進化しているものはありますが、結局人間社会の進歩や進化のスピードは失速しているのかもしれません。それは頭打ちなのか、それとも舞台を変えたり、今とは違うもっと先の次元で進歩や進化が進んでいるのか。身の回りの物や出来事が進んでも、結局人間自体の進化のスピードはテクノロジーのスピード感には到底追いつけないということでしょうか。インターネット以降は目に見えない世界にバトンが渡されてしまったのかもしれませんね。物理的なものが衰退していき、データ化できるものが速度を上げてどんどんと進んでいく。最終的に、そこに人は存在しているのだろうか?そんなふうに思います。インターネット以降やこの先に現れる進化を否定するわけでは決してありません。ただ、自分にはその先にあるテクノロジーと人との関係を確認することはできないわけで、知ることのできないその結末がどうなるのかが気になって仕方がないのです。

そんなことを考えていても無駄に時間が過ぎていくだけなので、もっとわかることに目を向けることにしましょう。そうCITERAの25SSのことです。とは言えもうすぐに始まるので軽く触れる程度にしておきます。

 





安定的に新しいモデルのテクニカルスーツがありますが、これはライフワーク的なことになってますねw。大した話ではありませんが、今のところ、奇抜ではない日常的な範疇で少し斜めから見たジャケットデザインに挑み続けているといったところでしょうか。それ以外となると目新しいところでは、トラッカージャケットや夏向けのハットがあったり。いつにも増してベーシックなアイテムのラインナップとなります。その他、詳しいことについては明後日からということでお楽しみに。

洋服はテクノロジーと違い進化し続けることは難しく、それはファッショントレンドを見ればわかることで、焼き直しや使い方を変えたりなど趣向を凝らしてはいるけれど、業界がひっくり返るほどの創造性とテクノロジーが合体して生まれる新しいファッションというものはもう生まれないのかもしれませんね。未来的なクリエイションがあったとしても、それはもはや「ファッション」とは言えないものになっている可能性もありますね。


 





いずれにしても、未来に何が起こるのかは誰にもわからないので、その新しい何かが生まれる時に運よく立ち会えればラッキー、といったところです。着るものにおいて、可愛いや格好いいという概念が失われなければまだ未来は続きそうですが、効率化の世の中になった時に、ファッションからユニフォーム化されてしまったら洋服が文化という枠から消えてしまうことでしょう。そんなことは起こらないと思うのですが、その心配をする節がないわけでもないことが、少し怖い。消費され続ける低価格品。それってファッションのブロイラー化とも言えなくない。あってはならないものは、戦争、核兵器、その他命を奪う事柄であって、低価格の量産品が悪いとは思わないけれど、文明が進めば進むほど様々な問題が起こるということなのだろうと理解するのが一番良いのではなかろうか。

 





もう少し経てば春がやってくる。心地よい気候の中、気に入った服を着て信頼できる仲間や恋人、家族とどこかへ出かけ楽しく過ごしたいだけなのです。決して悲観的になっているわけではなく、今の世の中の空気感がそう思わせるのかもしれません。軽くて快適な服を着て、何も考えず気の向くままにどこかに行く、ただそれだけのこと。その傍にCITERAがあればそれだけでいいと思える2025年の立春なのです。

 



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