PRODUCT STORY

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA

 

秋冬のアイテムも出揃ってしばらく経ちました。来月になれば新しいアイテムも入ってきますので、今回のメルマガはアイテム自体にフォーカスした話ではなく、CITERAが大切にしている部分「ディテール」に関して話していきたいと思います。CITERAみたいなブランドではディテールと一言で言うよりも「プロダクト・ディテール」と言うのが正しいですかね。それがないとアイテム的に成り立たないと言うくらい、パターンや生地と同じくらい重要な要素です。






まず、ウェアやバッグなどには2つの種類のディテールがあります。1:機能的なディテール、2:デザイン的なディテール、の2つになります。細かいことを言えば生地やパーツにもありますがそれを言い出すとキリがないので、今回は上記2つのディテールに関しての話になります。

そして、話をわかりやすくするためにアウター、パンツ、バッグ、この3種を取り上げて話を進めてみます。









まずはアウター。アウターは先に話した2種のディテールを使い、機能的にもデザイン的にも凝った仕様で作っていくことが多い。と言っても、CITERAの場合は派手なカットや余計なデザインのものは無いので、デザイン的なディテールの使い方は実に限られてきます。なので、ただデザインとして存在させることはなく、機能的なディテールがそのアイテムの中に自然と存在できるための機能としてデザインをディテールとして使っています。






デザイン的なディテールの「パッカリング」と機能的なディテールの「止水ファスナー」これらが一本のライン状に存在しています。これは止水ファスナーが突然あの位置に現れると唐突過ぎて違和感があるため、「縦に流れる一つライン」としてデザインに見える様にパッカリングが止水ファスナーをフォローしています。そうやって2つの違う種類のディテールが共存し機能的デザインを持つプロダクトとなる様にしています。

アウターは面積が広いので、こういったディテールワークを持ち込むことで、手数(デザイン)が多くなくてもディテールが空白を巻き込み表情のあるものになります。







さて、パンツの場合は上着と違い、面積が狭いため多めに空白がないとごちゃごちゃとデザイン過剰に見えてしまいます。できる限り、パンツを構成させるための縫い目やカット、補強などの基本構造に埋め込みながらディテールを活かすことで、奥行きのあるアイテムとなります。まあ、デニムは生地を含めディテールで成り立っている様なものですよね。






裾やウエストに入れたゴムが作る寄りジワ、デニムに見られるサイドのアタリ、ポケット口のサイズ感など。機能的要素が後からデザイン的なディテールとしても見えてきます。補強のリベットなどは機能、デザインどちらをとっても重要なディテールです。







バッグに関しては、「ディテール交差点」といってもよいくらいにディテール満載です。場所によって担う責任が違います。強度のために特定の箇所に異素材を使うことも多くあります。例えば革を使うのは強度のためであり、擦れや引裂きに強い機能素材として機能的なディテールでありながら、デザイン的ディテールにも結び付いていきます。








バックパックの底部分に革を使うのはそのためですが、重厚な作りに見えてくると同時に高級感も出るので、よりリッチな仕上がりを求めることもあり、底部に革をよく使うのです。








CITERAではバッグが荷物でいっぱいになった時でもできるだけ膨れ上がらない様にしたいと思い、ストラップでバッグ自体を締め上げられる様にしています。それらがデザイン的なディテールとしてもバッグを一つ上のものに押し上げてくれています。そのストラップがなかったらデザイン的にそのバッグは完成しない、というレベルになる様な配置のさせ方を心がけています。

ディテール全てには理由があるのですが、それを一つ一つ説明するのは時間がかかるので「ディテール」と一言で言っているのかもしれませんし、理由があるからこそ「ディテール」として見えてくるのかもしれません。

自分が何かを買う時に一番見ているのは実はデザインではなく、「ディテールがあるかどうか?」なのかもしれません。たとえデザインで惹かれたものと思っていても、その奥にしっかりとディテールが存在しているに違いない、そう思えてきました。「ディテール=作り手のものに対する愛」と言ってもいいのかもしれません。

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