PRODUCT STORY

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA

 

前回はカバンのレビューだったので今回はウェアのレビューです。
ウェアの使い勝手ってなかなか書きづらい。着やすい、温かい、快適、軽いなどを膨らませ、何とか書いて5行ってところだろう。
そうなると、使うたびに変化していくいわゆる「経年変化」があるものがわかりやすいし、書き甲斐もある。
であれば今の所デニムがいいのではないかと。
そして、次の秋冬でもアップデートさせながら再リリースもするし、加工を入れたブラックデニムも出すので、みなさんに改めてデニムの布教活動みたいなことをしてみようと思います。
デニムってとてもいいものです。




2月の終わりくらいからはき始め、頻度としては少ない時で週に1~2度くらいから、多いときで週に3~4度である。
そして5ヶ月ほどが経った状態が上の2枚の画像である。
全くもってまだまだである。
先日のメルマガでこのデニムについて少しだけ書いた時に触れたが、サイズ違いの2本を併用してはいているので進むわけがない。








一番出やすい裾のアタリでさえうっすら出ている程度だし、擦れる機会の多いバックポケットもまだまだ綺麗な状態である。
しかし、ヒゲはなんとなく出始めている。
と言っても、1本の折り目がうっすら見え始めたくらいであるが、糊落としをしていないことが功を奏したのではないかと思う。


まだまだ経年変化と言える箇所は少ないが、細かな箇所の画像を載せておこう。




ここで、過去にリジッドからはき始めたものの例をあげてみよう。
もちろんこれは違うブランドのものなので、参考になるか不明だが大体の時間感覚はこんな感じである。
もっとも、みなさんも経験していると思いますが、ここでは僕の場合ということで




週に4日ほど2年くらい真面目にはき続け、その後は週1~2度で計5年程はいたものでこのくらい。
縫い糸は全て綿糸なのでステッチのダメージはかなり激しい。
電車や車、時に自転車に乗るという生活の中でなので、ヴィンテージで見られる様な立派なヒゲは出ていない。


立派なヒゲを出すにはジャストサイズではき、馬に乗るとか常にしゃがむ仕事スタイルが必要になる。
そして膝裏に見事な「ハチノス」を出すためには、糊を落としていない状態で屈伸を伴う体勢をある程度続けていないとダメなのだろう。
そもそも昔はカウボーイや労働者のための作業着だったわけなので、現代の生活でヴィンテージの様なダメージを出すのは難しいわけである。



そんなわけでヴィンテージの様なダメージを出すにはかなり険しい道のりが必要になる。
そもそもこのデニムが今後どう育って行くかは、はく人それぞれの生活スタイルが多いに左右する。
もちろん地道にはき込むことが大前提だし、ある時点までは洗濯も我慢したりと、なかなか乱暴に扱うことが必要だ。


しかしだ、そんな風に無理にヴィンテージみたいなダメージを目指す必要なんてない。
普通にはき、気にせず他のものと同じペースで洗濯し、自然な変化を楽しむのもいい。
自分の「はきグセ」を物語るその年輪みたいなものを。
むしろその方がいい。
なぜならこれはヴィンテージのレプリカを目指して作ったものではないからだ。


好きな様にそれぞれのスタイルに合ったはき方をすることで、デニムもその人自身も魅力的に見えてくるのである。









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