PRODUCT STORY

Entries by Naoki Ei, the Director/Designer of CITERA

STORY第40回は今期のNEOCITY JKTについて。
CITERAスタート時からリリースしているNEOCITY JKT(リリースしていないシーズンもあったけど)。
「POLARTEC® NeoShell®」という素材を使って、都市の中で使いやすく着心地も快適なものを、という意味で「NEOCITY」と名づけた。



スペック重視でGORE-TEXを使ったゴリゴリのアウトドアブランドのジャケットもそろそろ飽きたし、次の新しい選択肢があってもいいだろうという意味も込めた「NEO」なのかも知れない。

「かも知れない」なんて書くと無責任に思われるかも知れないが、初めに「NEOCITY」とつけた時はこれを意識していなかったのだから仕方ない。
その頃、アウトドアブランドやスポーツブランドがファッションシーンに返り咲いていたけれど、ファッションブランドでもないのにファッションシーンに歩み寄って行くことが面白くないというか、アウトドアやスポーツブランド本来の魅力が半減してしまうように思えた。
もちろんそれは今もなんだけれど。

そんな風に思っていたこともあり、確かに「次の新しい選択肢を」という思いはあった。
しかしそれを直接的にアイテム名と繋げたいとは思っていなかった。
無意識のうちにその想いとNEO SHELLという素材が引きあったとでも言えばかっこいいけれど、恐らくただの偶然。だから「かも知れない」なのだ。

さて、話は変わってデザインについて。
都会を歩いていて思う。都会は夜がいい。
街にいろんな色の光が溢れ次から次に視界に飛び込んでくる。
都会だから決して暗闇なんてことはないけれど、そこそこの暗さに浮かび上がる信号、車、ビルなどのネオンの灯りがとても綺麗だ。
もちろんそんなことをいちいち感じながら毎日の生活を送っているわけではないだろうし、都会に住んでいたらそれが当たり前で何も感じなくなる。

僕の住む神奈川県の海辺の町は、数十メートルおきに立つ街灯と家々の灯りがあるくらいなので、駅から家に行く間にしっかりと暗闇もある。
夜の海なんてまさに暗闇。灯台が時折かすかな光を放つ。
海の上に浮かぶ船の灯り。とにかく都会と比べ灯りが少ない。
そんな環境の違いのために様々な灯りで溢れる夜が毎度華やかに思える。


暗がりの中に現れる灯りは人の気持ちを穏やかで安心させる効果があると思う。
偶然にも、昨日観たアメリカのドラマ「Stranger Things」のイントロの暗がりに浮かぶネオン調の赤い光のタイトルがやけに落ち着くというか、観ていて不思議と安心する。

今回のジャケットのデザインはそんな光がデザインのモチーフになっていたりする。
全体的にそれを押し出すのは品がないし、ただ派手になるだけだから控えめにしたのだけれど、それでも十分にその光は目に留まる。
シンプルだけどしっかりと主張がある。
それはとてもCITERA的なものだと思える。



この手のシェルジャケットは雨や雪から身を守るためのものだから、全面的にシェル素材を使うのが当たり前なのだけれど、以前からフードを被った時になんともフェイス周りの当たりが悪いというか、顔に対してもっと優しくあって欲しいと思っていたので、シェルジャケットとして非常識ではあるが、フードにもこもこのフリースをあしらってみた。
そうしたらフードの被り心地がよく、ほおや顎のあたりも暖かく、灯りを見つけた時の様な安心した気持ちにすらなる。それでいてかわいい雰囲気にもなる。



シェルジャケットというものに、そんなかわいらしさまではいらないのかもしれないが、機能とデザインとして成立し、なおかつそれがかわいいのなら「新しい次の選択肢」として十分に成立すると思う。
そういうものを地道に一つ一つ世に送り出していくことがCITERAにとって最も大事なことなのである。



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